「マリア様がみてる ハローグッバイ」(はてな年間100冊読書クラブ 12/100)

マリア様がみてる 33 ハローグッバイ (コバルト文庫)

マリア様がみてる 33 ハローグッバイ (コバルト文庫)

  • 34巻、10年に渡ったシリーズの完結編

遂に「マリア様がみてる」シリーズも、
「祥子・祐巳編」は、これが最終巻だそうですね。
初刊の発売から10年、全34冊とのことです。
ライトノベル界の人気作家・田中芳樹さんあたりとは違って(笑)
この「マリみて」シリーズは、刊行の間隔が比較的短かったため、
あまり年月の意識は無かったです。しかし10年ですか‥
私は読み始めた当時も今も、社会人のままですが(笑)
中学生で読み始めていたら、
10年後は社会人になってしまいますね。
そう考えると、月日の長さが実感出来ます。
10年という年月は、学生さんの読者が中心を占める
ライトノベルのシリーズにしては、
少々長過ぎたかな、とも思います。
もっとも、私が「マリみて」シリーズに手を出したのは、
マリみて」がブームになった後ですから、
10年よりは短いですけどね。実際には、私のような
途中から手を出した読者のほうが、多いような気がします。

  • 「祥子・祐巳編」とするのなら、中盤から終盤は長過ぎかと‥

マリみて」シリーズの主役は、初巻より
小笠原祥子さまと福沢祐巳ちゃんの二人でした。
そのうちの一人である祥子さまの卒業で、
ストーリーが完結するのは、納得は出来ます。
ただ、「祥子・祐巳編の完結」の割には、
中盤から終盤にかけて、
基本的には祐巳ちゃん単独の問題であった、
祐巳ちゃんの妹の選定問題」にまつわるストーリーが、
少々長過ぎたかな‥と思います。
「祥子・祐巳編」であれば、
祥子さまと祐巳ちゃんの二人とも
もっと表に出すべきだったかな‥と。
もっとも、「レイニーブルー」から
パラソルをさして」に至るエピソードを通じて、
祥子さまと祐巳ちゃんについては、
お互い深く理解し合うことが出来たため、
二人についてのストーリーは、
事実上、ここで終わっていたような感があります。
(人気に火が付いた「マリみて」シリーズの引き延ばしが
始まってしまったのが、この「パラソルをさして
以降である、という説もありますね‥)
そんな訳で、「祥子・祐巳編」として
一連のストーリーを見てしまうと、「パラソル」以降は、
蛇足になってしまうのかな‥とも思います。
もっとも、「祥子・祐巳編」は、
「祥子」と「祐巳」それぞれに関するお話であり、
「祥子(と祐巳)」、「祐巳(と瞳子や可南子)」が
関わっているストーリーである、とすることも出来ます。
しかし、それであれば、祐巳が3年になり、
紅薔薇さまとなった後のストーリーも、あるべきですからね。

  • 祥子さまの卒業式は、昨年のリベンジの場

前置きが長くなってしまいましたが、
ここからは本題の書評になります。
最後は、主役の一人・小笠原祥子さまと、
支倉令さまの卒業式のシーンでしたね。
もっとも、祥子さまと祐巳ちゃんは、
前回の「卒業前小景」にて、
既にお互いに別れを惜しみあっており、
この二人の「卒業」の儀式は、事実上終わっています。
従って、お互い無難に卒業式をこなしていきますね。
さてその卒業式ですが、前年の祥子さまは
送辞を読むシーンで泣き出してしまい、
令さまの応援を仰いでしまいました。
祥子さま本人は、その送辞のリベンジを
今年の答辞で固く誓っていたりしていますね‥(^^;)
令さまがバックアップした、
昨年の送辞が好評だったためか、今年の送辞は
次期薔薇さまとなる、祐巳ちゃん・島津由乃さん、
藤堂志摩子さんの3人が分担して担当することになりました。
由乃さんにハプニングが起こったものの(^^;)
送辞は無事完了しましたね。
そのハプニングを経て、祥子さまの当時は
予定とは異なるものになったようです。
そしてその即興の答辞が大好評を得て、
祥子さまは見事にリベンジを果たした訳ですが、
その答辞を見て(聞いて)みたかったな、と思います。
(本編では、祥子さまの答辞、3人の送辞の
内容の具体的な記載はありません‥)

佐藤聖さまや水野蓉子さま、鳥居江利子さまの、
懐かしの先代薔薇さま達も、妹の卒業式に顔を見せたりします。
最後だからなのか、キャラ総出演という感じですね。
マリみて」キャラ人気No.1?の聖さま
今回も出番が多いですな。令さまを炊きつけていたりした
エピソードも明らかになったりして、
相変わらず美味しい役回りって感じです‥(笑)
白薔薇志摩子さんと二条乃梨子ちゃんは、
お互い卒業には直接関係ないだけに、
出番があまり無かったのですが、それを補うような、
白薔薇さま聖さまの活躍でしたね‥(^^;)
そして、黄薔薇由乃さんは、最後バタバタとはしたものの、
令さまの前で無事に有馬菜々ちゃんにロザリオを渡し、
正式に姉妹の誕生となりましたね。

祐巳ちゃん&由乃さん&志摩子さんの新薔薇さま
瞳子ちゃん&菜々ちゃん&乃梨子ちゃんの
つぼみ達による、新山百合会のエピソードは、
果たして今後、楽しむことが出来るのでしょうか‥?
著者の今野緒雪さんは、「リリアン女学園の物語は、
今後も書きます」と本書のあとがきに書いています。
ただ、それは現在「雑誌Cobalt」に時折連載されている、
短編のようなものかもしれないですね‥
現在連載される短編、舞台がリリアン女学園というだけで、
本編のキャラが登場しないストーリーでは、
個人的には正直愛着はあまり持てないです‥(^^;)
やっぱ、馴染んでいる本編キャラが登場する
ストーリーが読みたいな、って感じですね。