「紫式部の欲望」(はてな年間100冊読書クラブ 19/100)

紫式部の欲望

紫式部の欲望

  • 女性ならではの視点で書いた、「源氏物語論」

日本の古典文学を代表する作品である「源氏物語」、
その「源氏物語」について、「物語を書きながら、
作者・紫式部には、こんな欲望を
抱いていたのではないか?」と想定して
書き進めている内容ですね。
なるほど、「女性作者ならではの視点かな」、
という感じがしますね(笑)
男性作者にとっては、このような女性の心理は、
まことに想像しづらい面がありますから‥(^^;)

  • 宮仕えのストレスを、「源氏物語」を書くことによって解消‥?

現代まで通用する文学作品を書いた紫式部
「女性に生まれたことを父に惜しまれた」
才女であったことは、よく知られています。
その一方で、才女という点で
同じ時代のライバル的存在であった清少納言
こっぴどく批判しているところなど、
そのプライドの高さや粘着性を、
うかがわせるところもあります。
そんな紫式部にとって、「思うままにならず、
欲求不満を抱えながらの宮仕え」、
源氏物語」を書くことによって
宮仕えのストレス解消に繋がっていたのではないか、
と著者は推測していますね‥(笑)

  • 欲望を物語内で実現するのなら、筆もはかどったことかな‥と(笑)

「田舎者(近江の君)やブス(末摘花)、
色ボケばあさん(源尚侍)を笑う」という内容は、
宮中で沢山の女性(女房など)と接する
教養を身につけた紫式部の、残酷な欲望でもある。
また、物語上では、彼女たちを登場させることによって、
「近江の君に対する玉蔓といった、
正統派ヒロイン達の輝きがより一層増す」というところは、
頭の良い紫式部なら、意図していた可能性はありそうですね。
その他、「素敵な男性に連れ去られたい」
といった欲望を抱いていたのではないか?
(物語内で、紫の上や夕顔、浮舟などが連れ去られていますね。
‥もっとも彼女達は、源氏の浮気癖に常に心を悩ませた(笑)
紫の上を含め、物語内では不幸な末路をたどっていますが‥)
なるほど、「自分の欲望を物語上で実現させた」、
という実利面もあるのなら、執筆を進める紫式部も、
きっとはかどったことと思います‥(^^;)