「夢のあとさき―おいしいコーヒーのいれ方〈10〉」(はてな年間100冊読書クラブ 103/100)

  • 10巻目にしてようやく一線を超えて‥(^^;)

「勝利とかれん、遂にクライマックス」という
帯の煽り文句にあるとおり(笑)
遂に二人は一線を超えましたね(笑)
しかし、1巻で既に勝利とかれんは
恋仲状態になっていますから、ここまで10巻、
正直長かったな〜というのが本音だったりします‥(^^;)
この間、二人の関係も多少の危機はあったとはいえ、
概ね平穏で変化には乏しかったですからね。
それでいて結局今回の10巻まで
一線は超えることは無かったですから。

  • 前半は勝利、情け無し‥

ただ、今巻はかれんが鴨川に行き、
二人は遠距離恋愛状態になりますが、
勝利の態度は正直女々しかったですな‥(^^;)
メールが来ないことで落ち込み、
ウジウジしてしまったりして。
そんな中でかれんの背後に
恋敵の中沢氏の影が見え隠れして、
勝利の焦燥に拍車がかかりますね。
しかし、勝利は自分に思いを寄せていた
星野りつ子と二人っきりではないとはいえ
未だに会っていたりしますから、
中沢氏の件でかれんを責める勝利は
随分自分勝手だなぁ‥
という気がしないでもなかったですね。
そんな展開でしたから、前半はじれったいというか、
なんとなくスッキリとはしなかったですね。

  • 誤解も解けて仲直りするも‥

かれんからの連絡が途絶え、
そして電話も繋がらなくなって
勝利は不信感を抱いたりもしますが、
かれんが過労の末に病気になったということを
聞きつけて、鴨川に駆けつけますね。
そこで勝利は、「連絡が無かったのは、
愚痴をこぼしたくなかったから」
というかれんの思いを知ります。
この時に一瞬、二人は一線を超えかかったのですが、
勝利はかれんの自分に対する一途な思いを知り、
その一方でかれんを信用しきれていなかった
自分を責めて、この段階では
一線を超えませんでしたね‥(^^;)

  • 恋敵・中沢氏とも決着をつけて

このシーンでは、「かれんと勝利はどちらも
他人に頼らずに抱え込んでしまうタイプ」という
マスター(かれんの実兄)の看破が
まさにあてはまる場面って感じでしたね。
そして勝利は、「恋敵」中沢氏との
決着をつけるために自ら中沢氏の元へ出向きます。
年下ということがずっとコンプレックス
になっていた勝利にとって、
常にビシッと決めている「大人の男性」の
中沢氏は、まさに手強い相手って感じでしたね。
そんな中沢氏は、勝利のような若造に
説得されるようなタイプではありませんが、
勝利に会う前に既にかれん自身から
ハッキリと断られていたこともあって、
遂に二人の前からは退場という感じですね。

  • セックスの切ない一面も‥

こうして勝利とかれんのすれ違った思いや
懸案の中沢氏の問題を一つ一つ解決していき、
そして全てが決着した後で
ラストシーン、遂に二人は結ばれる‥
という感じの展開でしたな(笑)
自分が今までに小説等で読んだセックスのシーンは、
主に男性向けに書かれているためなのか、
快感面の追求がメイン、という印象がありました
しかし本書の記述は、
「10巻目でようやく結ばれた」という
待ち遠しさや快感面よりもむしろ、
「いつまでも二人、繋がったままではいられない(笑)」
という男女の切なさが印象に残ったかな、
という感じでしたね。なるほどセックスには
こういう一面もあるのかな‥と
改めて実感した思いでした。

  • 新シリーズはどのような展開に‥?

最後でまさに「クライマックス」を迎えて、
本シリーズはここで終わっても
良いような感じもするのですが、
物語はまだまだ続くようですね。
二人の前に中沢氏や星野りつ子のような
更なる恋敵が現れるのか、
そして一線を超えるまでずっと隠し続けてきた、
かれんの父母(花村家)への対応は‥
このあたりが新シリーズのテーマかな、
という感じですな。