「雲の果て おいしいコーヒーのいれ方 Second Season5」(はてな年間100冊読書クラブ 99/100)

おいしいコーヒーのいれ方 Second Season (5) 雲の果て (JUMP j BOOKS)

おいしいコーヒーのいれ方 Second Season (5) 雲の果て (JUMP j BOOKS)

  • 知り合いを流産させて、

お馴染み「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの
最新刊になりますね。前作のラストシーンでは、
不注意により、将来的には義姉になるはずの由里子さんを
(おそらく)流産させてしまった
主人公の勝利ですが、とても日本にはいられなくなって?
オーストラリアに逃避行していますね。
オーストラリアでは、横恋慕の挙句、
勝利と同じく逃避行を図った秀人の
手伝いをすることになります。
研究者・秀人の手伝いをするのは、
DVに悩むアボリジニの女性や、
それぞれがトラウマを抱えている姉妹など、
一癖も二癖もある人物が登場してきますね。
いきなり舞台がオーストラリアに飛ぶのは
唐突という感が否めないですし、
主人公の勝利に、逃避という手段を選ばせたのも
どうかなと思ってしまいますね。
豪快でワイルドさを感じさせる(それでいて内面は繊細な)
秀人が、おそらく作者のお気に入りのキャラということもあり、
再登場となったのかな、という感じもしますね。

  • ラブストーリーなのに、ヒロインが全く登場せず

まぁ、思い起こせば、
おいしいコーヒーのいれ方」シリーズは、
第1シリーズの最後で、主人公の勝利と
ヒロインの「かれん」が結ばれているので、
この「Second Season」シリーズは、
そもそも最初から蛇足、ということも言えますよね。
なんだか無理無理話を広げているというか、
作者も既に、ストーリーをどう展開したいのか
解っていないような気もしてしまいます‥(^^;)
今作では、主人公の恋人であり、ヒロインの「かれん」は
全く登場しませんね。ヒロインが全く登場しない
「ラブストーリー」というのは、いかがなものかと思います。
また、本書の「あとがき」で作者は、
「主人公の勝利は、ハッピーエンドに導きます」としていますが、
義姉(になる人)を流産させてしまった勝利、
既に永遠の十字架を背負ってしまった立場になります。
ここから大団円に収めるのは、難しそうな気もしてしまうのですが‥