「時刻表タイムトラベル」(はてな年間100冊読書クラブ 10/100)

時刻表タイムトラベル (ちくま新書)

時刻表タイムトラベル (ちくま新書)

  • 鉄道に関しては「昔は良かった」と

昔の「時刻表」を紐解くことによって、
国鉄時代へタイムトラベルに誘う、といった内容の本ですね。
「昔は良かった」というセリフは、
「年寄りの繰り言」、という感もあります。
しかし、鉄道に関しては「昔のほうが、面白味があった」
と言えるのではないでしょうか。
昔の国鉄は、安心安泰「親方日の丸」の元で、
大赤字を垂れ流していましたけど(笑)
その分、ローカル線に代表されるような、
大赤字で非効率な、一方でマニアの関心を引くような
路線や列車が沢山ありましたね。
国鉄民営化にあたって、ローカル線の廃止など、
効率化が進められ、本州3社のJRは、
株式上場も果たして、優良民間企業になりましたけど、
その分、確実に面白みは減ってしまったのかな‥と思います。

個人的に面白かったのは、「多層建て列車」の章でした。
国鉄時代は、利用者の利便性を考慮して?
複雑な多層建て列車が、走っていたそうですね。
よくもまあこれだけ、パズルの如く組み合わせたなぁ、
と思いました。車両や乗務員のスケジュールとか、
立案がすごく大変そうな気がしてしまうのですが。
仙台から、花巻・釜石・宮古・盛岡経由の弘前行き、
なんて列車もあったりして、
一度乗り通してみたかったと思います。
「列車編成」の章では、昔は、「車両運用の効率性を
犠牲にしてまでも、1等車と2等車との区別を厳密にする」
という方針が貫かれていたりして、
昔の「格差社会ぶり」が実感出来た思いでした。
まぁ、昔は要人も夜行列車を利用していたそうなので、
仕切り(区別)を厳密にしておく
必要があった、というところでしょうか。

  • 食堂車は‥それほど憧れは無かったですね

「戦前の鉄道」の章と、「食堂車」の章は、
個人的には多少実感に乏しかった、という感がありました。
まぁ、「流れる車窓をお供に楽しむ、食堂車」は、
個人的には、「食堂車の食事は不味くて高い」
という印象がありました‥(^^;)
今ではもう一部の列車を除いて、
食堂車の体験は出来ないですけど、
食堂車については、それほど憧れも無かったですね(笑)
そんな印象を抱いていたことも、理由でしょうけど。