「プロ野球二軍監督」(はてな年間100冊読書クラブ 9/100)

プロ野球 二軍監督--男たちの誇り

プロ野球 二軍監督--男たちの誇り

  • まず、世代間の価値観の違いに悩む二軍監督

華やかな一軍の監督とは違い、
陽のあたることの少ないプロ野球の二軍監督、
本書は、その二軍監督や二軍の選手達を描いた内容になりますね。
「若手選手の育成と、成長した選手の一軍への送り出し」が
二軍の主な任務かと思いきや、その背景には色々あるようですね。
まず、二軍監督と新入団の若手選手では、
親子ほども年が離れていて、価値観も大きく異なっています。
「いまどきの若者の特徴として」よく言われているように、
ハングリーさが欠けていたり、すぐ挫折してしまったり。
二軍の監督やコーチ達は、まずそこで戸惑うようですね。
また、誰もがアマチュア時代には輝かしい実績を残している
「お山の大将」ですから、もともと尊大な、
他人の意見や忠告など、聞く耳を持たないところもあったりします。
少し前に話題になった、埼玉西武ライオンズ
菊池雄星投手とデーブ大久保コーチとの暴行・確執も、
この世代間の価値観の違いに、起因しているそうですね。
まぁ、サラリーマン社会の上司と部下の関係に
似ているようなところもありますね。
一軍からは「一軍に不足している機能に見合った選手を供給する」
という要求を突きつけられ、一方では、
「部下の若手選手の育成」もしなければならない、
まさに二軍監督は、プロ野球界の「中間管理職」ですな。

  • 必死に頑張る選手には、情も移る二軍監督

北海道日本ハムファイターズの二軍監督として、
性格に問題のあった(笑)大器・中田翔選手を
矯正して一軍で通用するまでに育てた水上善雄さん、
二軍監督を経て一軍監督に就任した西武の渡辺久信監督と、
後任の二軍監督・片平晋作さん、
その二人に影響を与えた広島東洋カープの二軍(山崎立翔監督)、
などが、本書では取り上げられていますね。
若手選手との価値観の違いに戸惑いつつも、
必死に頑張る選手達に対しては、つい情が移ってしまう
二軍監督の人間味にあふれる様子が、描かれています。
中田選手のほか、渡辺監督が目をかけた栗山巧選手や、
投手から打者に転向した嶋重宣選手など、
長年の二軍暮らしを経て、遂に花開いた選手もいれば、
尾崎匡哉選手や江川智晃選手など、
ドラフト1位指名された期待の星ながらも、
いまだに二軍で苦しんでいる選手もいますね‥
まぁ、プロの世界は、実力(この本によると、
実力だけではなく、「球団が求める能力を持つ」といった
運にも左右されるようですが‥)シビアではありますけど
プロ野球好きな人にとっては、
興味深く読める内容の本かと思います。