「助けてと言えない いま30代に何が」(はてな年間100冊読書クラブ 78/100)

助けてと言えない―いま30代に何が

助けてと言えない―いま30代に何が

  • 三十代は、自責の念が強く、苦境に陥っても助けを求めない

生活苦から孤独死した三十代男性の事件をきっかけにして、
非正規労働者やホームレスなど、
現代の「格差社会」の最下層に沈んでいる
世間一般的には「働き盛り」とみなされている
三十代に焦点をあてた、ルポルタージュですね。
彼らの特徴として、苦境に陥っても誰にも助けを求めず、
「自己責任」として、自分を責める傾向にある、
ということが、あげられていますね。
全くの孤独な人ならともかく、
親や親友など頼れる人がいるような人でも、
「こうなった自分が悪い」
「親や親友に、今の自分を見せられない」ということで、
自責傾向が強く、助けを求めようとしないようです。

  • 彼等を救おうと、地道な活動を続けているNPO

そんな彼らを救おうとしている、
NPOの代表者の地道な活動は、
心打たれるものがありましたね。
「自責傾向が強い」彼等は、公園で行われる
炊き出しに参加することはあっても、
NPOを頼ろうとはしません。
そんな彼等に対して、地道に声をかけ続ける
こまめな活動が、「自責傾向の強い」彼等の心に
少しでも届き、最底辺まで落ちてしまった彼らの
再チャレンジに繋がれば、と願わずにはいられないですね。

  • 「三十代論」に仕上がっており、同世代の私は共感出来ました

また、私も同じ三十代として、
本書に取り上げられた内容は、他人事とは思えませんでしたね。
今の三十代は「団塊ジュニア世代」として、
もともと同世代が多く、受験戦争などが厳しかった上に
更に就職時に不景気の波を受けます。
心ならずも非正規労働者にならざるを得なかった人達も
多かったと思いますから。その後も不景気は続き、
非正規労働者として、キャリアを積めなかった人達は
正社員として就職するのは難しいですからね‥
本書は、全体的にはルポルタージュなのですが、
最後に、三十代の作家・平野啓一郎さんによる
「三十代の危機」という考察が、掲載されていますね。
珍しい構成であると同時に、
ここまでのルポルタージュを踏まえての
いわば「三十代論」とも言える
まとめの内容になっていますね。