「深愛」(はてな年間100冊読書クラブ 57/100)

深愛 (しんあい)

深愛 (しんあい)

この本は、人気声優・水樹奈々さんの自叙伝ですね。
2年連続で紅白歌合戦に出場するなど、
ここまで順調にステップを登ってきたかと思いきや、
実は下積み期間も長く、波乱万丈の過程があったようです。
その内容を、公開している本ですね。
奈々さんのファンなら(まぁ、この本を手に取るのは
奈々さんのファンに限られているとは思いますが‥(^^;)
興味深く読める本ではないかと思います。

  • 幼少の頃は、お父さんから我流教育

幼少の頃の奈々さんは、演歌歌手を夢見て、
お父さんから英才教育(というか、我流教育‥笑)を
受けたそうです。毎日レッスンに明け暮れ、
そのため、友達も出来なかったそうですね。
まぁ現在成果を結んだから良かったものの
(奈々さんも、父への感謝の言葉を綴っています)
途中で挫折するなど、もし実を結ばなかったとしたら、
親子関係は不幸な結果になってしまったのでは
ないかと思ったりもしてしまいます‥
「自分がなれなかった歌手の夢を子供に託す」
という、子供を潰しかねない動機でしたからね‥
そんな父をずっと支えてきた奈々さんの母‥
まさに「浪花恋しぐれ」的な、
父が威張る昭和初期の課程、という感じですな‥(笑)

  • 一般人には縁の無い、堀越高校の芸能コースの様子も

本書で個人的に興味深かったのは、
堀越高校(芸能コース)在籍時の内容でしょうか。
まぁ当然ながら、一般人には縁の無い過程ですからね‥(^^;)
奈々さんはカラオケの大会で優勝して
事務所にスカウトされ上京します。
堀越高校の芸能コースに在籍しながらも、
なかなかデビューは決まらず、先生からは嫌味を言われ(笑)、
また単身の上京なので、食事にすら事欠くような
苦しい経済状況だったりします。
周りが芸能活動で授業を抜けたりする中で、
奈々さんは焦りを覚えながらも、
芸能の仕事は無いので(笑)勉強に励むことになります。
その結果、卒業時には優秀表彰されたりするのですが、
おそらく一番苦しかった時期ではないでしょうか。

  • 所属事務所の所長から、セクハラも受けて‥

その後、キングレコードの担当者の目に留まり、
スカウトされた事務所と袂を分かつことになります。
事務所長からセクハラを受けたことなど、
生々しい記述もあったりしますね‥
もっとも、その所長にスカウトされて上京したこと、
及びセクハラ一辺倒ではなく(ぉ、
デビューを目指してレッスンも重ねていたことから、
奈々さんにとっては苦渋の決別だった、という感じでしょうか。

キングレコードに移籍して、声優の仕事も舞い込みますね。
慣れない声優業に戸惑いながらも、
キャリアを積み重ね、遂に花が咲きます。
小さい頃から、父と演歌歌手を目指して
レッスンに明け暮れていた奈々さんにとって、
メジャー歌手の証とも言える
紅白歌合戦」への出場は、亡き父に捧げるという点からも
大きな意味合いがあったんだな、と実感しました。