「変わる家族と介護」(はてな年間100冊読書クラブ 53/100)

変わる家族と介護 (講談社現代新書)

変わる家族と介護 (講談社現代新書)

  • 時代の流れに伴い、介護の実態も変化

現場を通して介護の研究を続けている著者が、
時代の流れに伴う、介護の実態の変化について記した本ですね。
「時代の流れによる変化」については
一般的には、「介護保険の導入」や
少し前に年金詐欺が話題になった「消えた高齢者」の件が
記憶に新しいところではあります。
しかし、現場を実際に見ている著者の視点からは、
「家族と介護のあり方が大きく変わってきた」、
と結論づけていますね。

  • 介護は家庭では担えない時代へ

その変化の内容としては、
「消えた高齢者」にも繋がる事象である
「高齢の老親の年金をあてにする、
経済力の無い中年の息子や娘」、一方で
「経済力のある息子や娘は、仕事との両立に悩む」
という感じですね。日本ではもともと
「介護は家族が担うもの」とされてきましたが、
その傾向が薄れてきたため、
介護保険制度が開始されたものと思います。
少子高齢化の傾向が一層強まる今後は、
「介護はもう家庭では担えない」
という状況になっていることが、窺えますね。

  • 「息子よりも娘が欲しい」という風潮が更に強まる?

少子化が進んで、また一方で家族観も変化して、
娘と実の母親・父親の仲が親密になっていることもあり、
「嫁が舅・姑の世話をする」という風習は廃れ、
「嫁は実の両親の介護をする」ようになっていますね。
まぁ、縁の無い赤の他人よりも、
実の両親のほうが思い入れが強いのは、
当たり前のことだと思います。
介護をあてにする訳ではないですけど、
「息子よりも娘が欲しい」という傾向は
今後更に強まっていきそうな感じもしています。
もともと、「女の子のほうが可愛い」という
風潮はありましたけど。

  • 誰でも最後はお世話になる、「介護」の現況がわかりやすく

また、夫婦仲が良くない夫婦間の介護の
悲惨な例なども取り上げられていました。
経済力のある夫がヘルパーの看護を気に入り、
経済力の無い妻を更に邪険に扱うように
なってしまったりしているそうですね。
人間誰でも老い、死ぬことになります。
死の間際は、長かれ短かれ
介護のお世話になることになります。
介護と家族の関係、誰もが心しておいたほうが
良さそうですよね‥そんな介護の現況について
事例を交えて書かれているため、
現在の介護の状況を、解りやすく知ることが
出来る本ではないかと思います。