「食の街道を行く」(はてな年間100冊読書クラブ 38/100)
- 作者: 向笠千恵子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2010/07/16
- メディア: 新書
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- 現在の「食の街道」をたどった本
京都と小浜を結ぶ「鯖街道」に代表されるような、
昔から食材が輸送されたルートであった
「食の街道」を著者がたどった本ですね。
もちろん、昔と今では状況も異なってはいますが、
食材を扱う老舗を訪ね、現状をヒアリングしたり
もちろんその食材を実際に味わったりもしており(笑)
ルポルタージュ的な内容に仕上がっています。
また、昔の風習に繋がっている面もあったりして、
文化史的な考察にもなっていますね。
例えば「ぶり街道」で山間部に運ばれたブリは
正月など「ハレの日」の食べ物として珍重された、など。
「食文化」という点からも、興味深い内容ですね。
- 消費地につく頃に、一番美味しくなるように工夫
「鯖街道」の例では、小浜から京都に塩を降った鯖が運ばれます。
その塩のふり加減は、丁度京都に到着する頃合いに、
一番美味しくなるようになされていたようですね。
まさに先人の知恵って感じでしょうか。
これは、駿河湾から甲斐に運ばれた鮑にもあてはまるそうです。
また、伝統の食材を守り続けている
老舗の店の心意気にも、心打たれるものがありました。
そういった老舗の店は、地元でもきちんと認知されており、
著者が店を訪問する際に乗ったタクシーの車内で
運転手から「あの店は良い」と言われたりするそうですね。
古くから地元に根付いた食文化は、
簡単には廃れないものだな、と実感しました。
- 旅行や日本史が、一段と興味深くなるかも
個人的に知っていたのは、上記の「鯖街道」や
富山湾から飛騨への「ぶり街道」、
北前船で北海道から大阪へ運ばれた昆布くらいでしたけど、
まだ他にも、色々な食材が運ばれていたのですね。
徳川家康をはじめとした歴代の将軍に運ばれた美濃の鮎、
南蛮渡来の窓口であった長崎から始まる砂糖など、
「食の街道」は日本史とも密接な関連があります。
歴史好き&旅行好きな私には、楽しめる内容となっていました。
旅先で名物を味わう時にも、知っておくと興味深い内容ですよね。
「宇治のお茶」、「房総半島の醤油」など、
その土地の特産品の成り立ちも、知ることが出来ますね。
昔からちゃっかりしていた?先人の関西人のお陰で、
「宇治茶」はブランド化に成功したそうですね。
また、先日、本書で取り上げられていた、
「上越のかんずり」(唐辛子を雪の上で干したもの)が
ニュースで出ていたりもしましたが、
そのようなニュースも、より興味深くなりますね。
日本人として、知っておきたい日本食の豆知識、
という感じの内容かと思います。