「任天堂“驚き”を生む方程式 The philosophy of Nintendo」(はてな年間100冊読書クラブ 31/100)

任天堂 “驚き”を生む方程式

任天堂 “驚き”を生む方程式

  • 任天堂」の強さの秘密が、解明されていますね

Wii」や「DS」といったゲーム機でおなじみの、
任天堂」の企業風土について、
岩田聡社長、宮本茂専務、山内溥相談役といった
新旧経営トップに取材を行いながら、解明していく本ですね。
任天堂という企業の強み」や、
「資産効率運用」という点で批判されることもある
任天堂が潤沢な資金を抱えている理由」などが
本の中で解き明かされています。
任天堂の関係者に、実際に取材を行っているので、
著者の想像から書かれた本とは違って、
その内容には真実感がありますね。

  • 高性能・高画質ではなく、娯楽性に立ち返ったこと

ファミコン」・「スーパーファミコン」がヒットして、
NINTENDO 64」や「ゲームキューブ」は苦戦、
そして「Wii」「DS」では巻き返した、
その経緯を知っているゲームファンなら、
特に楽しめる内容かと思います。
高性能ハード「NINTENDO 64」の失敗から、
高性能・高画質を追い求めるのではなく、
「家族みんなで楽しめる」「快適な操作性」といった、
ゲームの「娯楽性」に立ち返ったことが、
Wii」・「DS」の成功に繋がった、という感じですね。
「ゲーム人口を広げる」という理念から、
Wii Fit」や「脳トレ」といった
ヒットゲームが誕生しています。
「枯れた技術を活用する」ということが、
任天堂の企業文化として定着していますね。

  • カリスマ社長からの禅譲が、上手くいった例でもありますね

その他、メインユーザーが子供であることから、
耐久性に気を配っているところや、
湾岸戦争で黒焦げになった「ゲームボーイ
ゲーマーの間では有名な「手厚いサポート」などが
語られていますね。また、岩田社長や宮本専務は
部下の社員と直接語り合う時間を設けるなど、
企業風土の醸成にも心掛けているそうです。
また、カリスマ社長の山内氏から岩田氏への社長禅譲
そしてカリスマ社長退任に伴う
カリスマ独裁体制から合議体制への移行といった、
経営の継承が上手く行われた、という点も
特筆すべきところがあるかな、と思います。
山内氏は「独創」を大切にしていましたが、
その精神は、現在の任天堂にも
しっかりと受け継がれているようですね。