「地球環境を映す鏡南極の科学 氷に覆われた大陸のすべて」(はてな年間100冊読書クラブ 23/100)

  • 入門者はもちろん、知識のある読者でも楽しめますね

「氷の大陸」南極大陸について、越冬隊で滞在経験もある、
何度も南極に渡った著者が、語った本ですね。
幅広い読者を対象にしている「ブルーバックス」シリーズのため、
南極の極寒の気候や、(「南極ではおしっこは凍るのか?」
という質問は、全世界共通のようですね…笑)
アムンゼンとスコットによる南極点到達争いの歴史、
最近話題のオゾンホールの破壊といった、
比較的周知と思われる内容もあります。
それに加えて、「氷の下には地底湖がある」、
「白一色の世界なので、隕石が見つけやすい」といった、
一般的にはあまり知られてはいないと
思われる内容もありますね。著者によると、
「オゾンホール・隕石・地底湖」が、南極の三大発見だそうです。
そのため、南極に興味を持った入門者はもちろんのこと、
南極についてそれなりに知識のある読者でも
楽しめる仕上がりになっています。

  • 地底湖は、永遠に幻のまま‥

個人的には、地底湖の内容は興味深かったですね。
旧ソ連が掘り進めていたようですが、
「富士山を越えるような氷床の下」にある湖ですから、
ものすごい圧力がかかっていることが想定されるため、
掘りあてた時の衝撃等を考えて、掘削は中止されたそうです。
現在のところは、おそらく永遠に「幻の湖」のままなのですね。
少し残念な気もしてしまいます…
「富士山を越える氷床」もそうですけど、
南極の自然は、想像もつかないような現実がありますね。

  • コックや医者として、越冬隊員に同行して南極に行く方法も

あと面白かったのは、「南極に行く方法」として、
越冬隊員になるための方法は勿論のこと、
観光旅行のパッケージツアーや、
あるいはコックや医者として越冬隊に同行するなど、
様々な方法を紹介しているところですね…(笑)
観光旅行の紹介など、ブルーバックスには珍しい
くだけた記載内容ですよね‥(笑)
また、「コックや医者として、南極に同行する」
という手法を紹介しているところも、面白いと思います。
ただ、医者の場合は、自分自身の健康に心掛ける必要があります。
「医者自身が盲腸になってしまった場合、
鏡を見ながら自分自身で手術する」
といったケースもあったそうですね。
コックは、「和食担当1名、洋食担当1名
どちらか1名は中華も出来る」といった塩梅で、
かなり具体的に書かれていますね‥
ただ、南極という環境上、生野菜は手に入らないので、
その点では、腕の振るいようが無いそうですね。