「この国は議員にいくら使うのか 高給優遇、特権多数にして「非常勤」の不思議」(はてな年間100冊読書クラブ 14/100)

  • 「官僚の給料は国会議員以下」と決まっているのであれば‥

現・名古屋市長で、市議会と対立している
河村たかしさんが、国会議員時代に書いた本ですね。
自らを含めた国会議員が高級取りな理由について、
具体例をあげて説明しています。
国会議員が高級取りな理由の一つとして、
「官僚の給料は、国会議員以下」と決められているため、
普段は仲の悪い(笑)官僚と国会議員ですが
ここは利害が一致するため、結託して
国会議員(とそれに釣られて官僚)の給料を上げてきたようです。
今まで、そんな決まりがあったとは、知りませんでした。
国の無駄な歳出を減らそうと一生懸命な財務省でも、
おそらくこの点には、手をつけないのでしょうね‥(^^;)
自分達の給料が減ってしまいますから‥

  • 様々な議員特権、二世議員も減らない訳ですな‥

また、国会議員は、通常の「歳費」の他にも
別途、月100万円の「文書通信交通滞在費」が貰えるなど、
様々な「議員特権」について触れていますね。
お金以外でも「黒塗りの乗用車でお出迎え」といった、
無駄と思われる行為が、行われているようです。
まさに「議員特権」ですね。こんな特権ばかりの状況では、
世襲議員が横行するのは当然だと、著者は主張しています。
確かに、議員は選挙で落選してしまえば
職を失ってしまいますけど、あまりに厚遇しすぎだと思いますね‥
そして、議員が厚遇されているのは日本だけであり、
他国では、「議員はボランティアで勤めるもの」
という感覚だそうです。そのため、歳費とかも少ないそうですね。
著者は、この「ボランティア型議会」を、
現在の名古屋市議会でも目指しているようですね。

  • 著者が、民主党代表選に立候補できなかった理由‥

著者の河村さんは、こういった特権を廃そうと
例えば受け取った「滞在費」を返還しようと試みたりなど
今まで様々な活動してきたようです。
しかし、「党の本部が様々な「党議拘束」をかけるため、
結果的に、議員個人の行動が制限されてしまう」と批判していますね。
著者の河村さんは、今まで何度も民主党の代表選に
立候補しようとして、その度に推薦人が集まらずに
断念を余儀なくされていました。なるほど、
著者自身の日頃のこういった行動により、
党本部に睨まれていた存在であったため、
推薦人すら集まらなかったのだな‥と思います(^^;)
もっとも著者は、「一人では何も出来ない」として、
民主党を離党して活動するつもりは、無かったようですが‥

  • さすがは政治家、強かだな‥と

この本を読み進めていくと、
著者の河村さんが名古屋市長に立候補した理由としては、
現在市民に人気を博している政策の「10%減税」は
あくまでも手段の一つであり、
「減税政策で市民の支持を集めておいて、
著者自身の持論である「議会改革」を実施する」
ということが主目的であることが、理解できますね。
なるほど、さすがは政治家、強かなものだと思います。
「当然議会は反対するだろうから、
その際には住民投票でリコールに持ち込む」という
名古屋市で実際に起こっている展開も、
この本の中に書かれていますね。
著者の河村さんが名古屋市長選に立候補した時、
民主党市議団は、河村さんを支持していました。
そして現在、当選して市長になった河村さんと
議会は激しく対立している訳ですが、
この本に書かれている河村さんの持論を見れば、
河村さんは市議団にとっては
「危険な存在」であり、支持すべきでは無かった、
ということが、事前に解っていたと思います‥(笑)
そんな河村さんを支持してしまったのは
民主党市議団の失策、と言えるでしょうね。