「「次の首相」はこうして決まる」(はてな年間100冊読書クラブ 10/100)

「次の首相」はこうして決まる (講談社現代新書)

「次の首相」はこうして決まる (講談社現代新書)

本書は、政治記者の著者が、自らの見聞を基に、
主に安倍内閣から麻生内閣までの、
自民党政権末期の自民党政治を分析した本ですね。
自民党政権末期の体制といえば、
小泉純一郎元首相が大臣候補を一本釣りしたりした
「派閥破壊」が印象深いです。
しかし、「派閥破壊」には、小泉元首相の行動の他にも、
小選挙区制の導入によって、二大政党化が進んだことから、
国民の「人気取り」がポイントとなり、
世論調査が重要視されてきていることも、あったようですね。
中選挙区制下での、自民党安定政権では、
自民党総裁選に立候補するのは、派閥の領袖と決まっていました。
しかし最近では、派閥の領袖でも、国民の間で人気の無い人は
立候補すら出来ず、また派閥の領袖ではなくても、
国民の間で人気があれば、総裁選に
積極的に立候補するようになっているようですね。
また、総裁選では「勝ち馬に乗る」傾向も強かったようです。

  • 恣意的な情報操作が可能になる、問題点もありますね‥

もっとも、世論調査に敏感になったといって、
必ずしも民意が反映され易くなったとは、言えないようですね。
「調査の際に、あらかじめ調査項目に挙げられていない候補者は
上位にランクインする事は出来ない等」、マスコミ各社による、
恣意的な調査操作も可能になってしまいますから‥
また、政権交代後の民主党政権では、
このような自民党政権の揺り戻しのような現象が、起こっていますね。
世論調査では献金問題で批判が強い、小沢一郎さんが、
先日の民主党代表選挙では、議員票では菅直人総理に
匹敵する票を集めたりしています。
世論調査に翻弄されていた自民党政権とは違って、
世論と党内論理との乖離が、問題になっていますね。