「キリマンジャロの雪が消えていく アフリカ環境報告」(はてな年間100冊読書クラブ 5/100)

キリマンジャロの雪が消えていく―アフリカ環境報告 (岩波新書)

キリマンジャロの雪が消えていく―アフリカ環境報告 (岩波新書)

  • 現在のアフリカが抱える、様々な問題について

標題の内容からは、地球温暖化や環境問題について
記載した本だと思いがちですけど、
本書はもっと幅広く、現在のアフリカが抱える様々な問題を、
全般的に取り上げている本ですね。
アフリカについては、日本から距離が離れていることもあって
マスコミで取り上げられることも少なく、
なかなか、しっかりと知る機会は無いですね。
その点、この本では、アフリカ駐在経験が豊富な著者による、
アフリカの実録レポートのような形となっており
有意義な一冊だと思います。
私も今まで、「アフリカの問題」というと、
人口爆発くらいしか念頭に無かったので、
本書を読んで、大変勉強になりました。

  • 人口増、人口の都市流入、砂漠化の進行

サハラ砂漠に代表されるように、
利用価値の高い土地が多くないアフリカですが、
出生率は変わらず&死亡率が減少したことにより
人口が劇的に増えています。
人口増により、農村では土地不足が発生して
農村から都市に人口が流入して、
貧しいスラム街が形成されてしまいます。
一方で、農村では、家畜が植物を食べ尽くして
更なる砂漠化が進む、という悪循環ですね。
また、野生動物は食用目的等の乱獲が止まらず、
絶滅が懸念される動物も、多いようですね。

  • 良かれと思われる援助が、悪影響を‥

あと、驚かされたのは、
アフリカ諸国に対して先進国は援助を行っていますが、
その援助が、問題を引き起こしている例もあるそうですね。
例えば、衣料の援助によって、
アフリカの産業がダメージを受ける、
また、小麦の援助によって、
小麦を調理する燃料確保のために、木々の伐採が進んで
砂漠化に拍車をかけている、という感じです。
良かれと思った援助が、砂漠化などの問題を
更に悪化させている、というのは驚きの事実でしたね。

  • 適当な解決策は、まだ見つかっていません‥

う〜む、アフリカの問題は大変だな、と思いました。
今後のアフリカは、「アジアのように近代化が進むのではなく、
人口爆発や砂漠化などの現状の問題を抱えたまま、
問題が更に悪化する一方なのではないか」
という思いを強く抱いてしまいました‥
現在アフリカで起きている問題が、
こんなに深刻なものであった、
しみじみと実感してしまいました。
もっとも、著者は本書の中で、「これらの問題を解決する手段は、
いまだ見つかっていない」としていますね。
アフリカ問題の解決は、今後は全地球の人民にとって
大きな課題になりそうです‥