「誰も書けなかった国会議員の話」(はてな年間100冊読書クラブ 11/100)

誰も書けなかった国会議員の話 (PHP新書)

誰も書けなかった国会議員の話 (PHP新書)

  • 政党に所属しない「無所属議員」の活動状況がわかる本

薬害エイズ訴訟の原告として注目を浴び、
現在は参議院議員として活躍している、
川田龍平さんの著書ですね。川田さんは無所属議員なので、
無所属の国会議員の活躍する様子が描かれており、
なかなか興味深い内容に仕上がっています。
今まで、自民党民主党の国会議員が書いた本は
読んだことがありましたけど、無所属議員の活動というのは
なかなか知る機会が、ありませんでしたから。
国会議員が所属する委員会については、
「テレビで脚光を浴びる」といった花形委員会は
自民党民主党に押さえられてしまい、
無所属議員については「余りもの」の委員会に
所属せざるを得ないそうですね。
川田さんも、厚生労働委員会の希望はかなわず、
環境委員会所属とならざるを得なかったそうです。

  • ありのままの、議員の様子が描かれていますね

無所属議員ということで、
他政党から「法案に賛成/反対して欲しい」といった
誘いの手が伸びることもあるようです。
また、多忙な議員の生活風景
(中にはテレビに映らんがために、
関係無い委員会にも出席する議員もいるようですが‥笑)
そして、よく知らないまま、
党議に従って、賛成/反対している議員の様子など、
議員本人しか解らないことが、ありのままに描かれていますね。

  • やっぱり「議員」、庶民感覚から外れているところもあります…

異色の議員だけあって、面白い提案もあったりします。
例えば、「参議院議員は全員無所属に」といった内容は、
なかなか興味深い提案ではないでしょうか。
ここ最近は、参議院では与野党が逆転しているので、
参議院の存在感が増していますけど、それまでの参議院は、
衆議院の追認機関に過ぎなかった感がありますからね。
ただ、異色の経歴とはいえやっぱ現役の議員だけあって、
一般庶民の感覚からは、ずれているところもありますね。
例えば、「秘書を雇ったりしてお金がかかるから、
個人献金や国費補助の拡大」といった主張があります。
あるいは「小選挙区制の廃止と、中選挙区制の復活」
といった主張とか。中選挙区制の復活は、
自民党への移籍を、視野に入れているのでしょうか‥?(笑)

  • 著者の思考は、偏りも激しいですね。注意が必要です。

あと、個人的に受け付けなかったのが、
一人称の「ボク」表示ですね。
もういい大人なのですから「ボク」は無いかと(笑)
親しみ易さでも、出そうとしたのでしょうか?
そして、これは仕方のないことなのかもしれませんが、
偏った思想の持ち主ではありますね。
例えば、医療全般に不信感を抱いているところとか、
過剰反応をするところなどが、ありますね。
「重要な法案の通過や、画期的な判決が、
マスコミが飛びつくニュース(例えば、白装束集団など)
によって隠れてしまう」と著者は憤慨しています。
著者は「情報操作、世論操作ではないか」と疑っていますが、
著者が憤慨した例として取り上げられていた、
レッサーパンダの通り魔事件報道のお陰で、
ハンセン氏病事件の判決が隠れてしまった」という内容ですが、
これは、一般市民的間隔では、「通り魔>ハンセン氏病」でしょう。
通り魔のほうが、よりセンセーショナルであり、物騒ですからね。
このような、「医療関係の事件に過剰反応しているところ」は
個人的には共感出来ませんでした。