「フェンネル大陸真勇伝 星々の夜明け」(はてな年間100冊読書クラブ 80/100)

  • 「皆を助ける」主人公のフェンらしい選択かな…と

フェンネル大陸真勇伝(前シリーズの「偽王伝」シリーズも含めて)
シリーズの完結編ですね。
今まで張り巡らされてきた伏線とかも、最後に明らかになりますね。
グールを抑圧するといった諸悪の根源は、実は父王ではなくて、
主人公のフェンの兄にあたるルースだったとか、
色々と驚かされる展開になりましたね。
普通であれば、これだけの悪役ぶりを見せてくれたルースは
死という形で物語から退場しそうなものですが、
結局のところは、主要人物は誰も死なずに、
主人公のフェンが身を引いた形で、
物事を丸く治めることになりましたね。
まぁ、フェンらしい選択であったとは思います。
ここまで皆に助けられてきたフェンが、逆に最後は
「皆を助ける」という選択を選んだということなのでしょうね。
長旅の同行者であったテオに認められて、
心から嬉しそうなそぶりを見せるところとか、フェンらしいって感じです。

  • 「悪人にも五分の魂」、生き残るための要件…?

悪役(笑)のルースには、「悪人にも五分の魂」という感じで(笑)
異母妹・パラとの禁断の恋物語が挿入されていますね。
パラは主人公のフェンの理解者でもあっただけに、
そのパラとルースを結びつけることによって、
ルースの悪役感を和らげる効果があった、
といったところでしょうか。
シリーズの最後にかけて、ルースやギルフォード以外の
フェンの異母兄弟が次々に登場しましたけど、
彼らは皆、個性的な性格づけがされていて、
なかなか面白そうな感じですよね。
終盤の端役だけで終わらすのは、勿体無いような感じでした。
本編は本巻でお仕舞いですけど、
今後、本シリーズの外伝の出版予定があるそうですね。
ファンにとっては、あと少しだけ「フェンネル大陸」シリーズが
楽しめるかな、という感じです。