「ケース・スタディ日本企業事例集」(はてな年間100冊読書クラブ 79/100)

ケース・スタディ 日本企業事例集―世界のビジネス・スクールで採用されている

ケース・スタディ 日本企業事例集―世界のビジネス・スクールで採用されている

  • 日本企業の戦略や決断の成功例は、心強く思えますね

天下の(笑)ハーバード・ビジネス・スクールで
教材として使われている、日本企業の「戦略と決断」の事例集ですね。
バブル経済の崩壊からなかなか立ち直れない日本経済とともに
日本企業も、最近は元気を無くしてしまっている感があります。
そんな状況において、日本企業がビジネススクールの事例集として
取り上げられることがあまり想像出来なかっただけに(^^;)
こうして、日本企業の戦略や決断の成功例が
取り上げられているのを見るのは、嬉しく、また心強く思えますね。
その、本書で取り上げられている企業は、
松下電器産業日産自動車など、お馴染みの企業が多いですね。
日産の戦略は、カルロス・ゴーンさんの
「日産リバイバルプラン」で割と著名かと思います。
その日産の場合は、本書によると「リバイバルプラン」を策定して
実行に移すという、リーダーとしての決断力が重要。ということでしょうか。

  • アニメのプロダクションが取り上げられているのは、面白いですね

面白いのは、名だたる有名企業に混じって、
アニメのプロダクション(アイジー)が
取り上げられているところですね。
ビジネス本によく目を通すビジネスマンでも、
「アニメのプロダクションのケーススタディ」、というのは
なかなか見かけたことが無いのではないでしょうか?
アニメは、配給側が著作権を握っており、その作品が売れても、
制作側にはお金がいかない仕組みになっていましたが
(製作者の薄給は、割と知られた事実ですよね)
アイジーは、そういった風潮に風穴を開けようとしていたそうです。

その他の例としては、フィルムカメラから
デジタルカメラへの移行で
コア事業のフィルム事業が急降下する中で、
保持していた自社の技術力(強み)を生かして、
化粧品や液晶ディスプレイ(の膜)に
幅を広げてきた富士フィルム、などの例がありますね。
確かに、フィルムカメラからデジタルカメラへの移行は
街角のカメラ屋さんと同じように
フィルムのトップメーカーである富士フィルム
潰れてもおかしくはない、大転機でしたね。

ネット社会の事例として、
楽天NTTドコモおサイフケータイ)も、取り上げられていましたね。
楽天は、銀行や宿泊予約など、
買収などにより規模は急拡大していますが、
その企業理念(楽天市場のお店の質と量を高め、
多くのユーザーを引きつけていくこと)は
創業時から変わっていないことが、うかがえますね。
ドコモの場合は、クレジットカードとの差別化などに
悩んだ形跡がうかがえますね。
そして、企業家の例として、稲盛和夫氏が取り上げられています。
京セラとKDDI、2つの企業の立ち上げに成功したことと、
稲盛氏の経営哲学でもある「フィロソフィ」について
解説されていますね。仏教的な思想を根幹にしている
稲盛氏の経営哲学は、まさに日本式経営の代表例、なのでしょうね。