「医療崩壊の真実」(はてな年間100冊読書クラブ 67/100)

医療崩壊の真実 (アスキー新書)

医療崩壊の真実 (アスキー新書)

医療系の人材コンサルタントの著者が、
医療現場における自らの経験を基に、
悩める医師や崩壊する医療現場の現状を、語った本ですね。
この手の「医療崩壊」の本は、医師や病院関係者が書いた本はありました。
内部関係者の本ですから、自分達に都合の悪いところは
隠しているのでは?といった疑問もありましたけど、
外部の関係者が書いた本を読んだのはこれが初めてなので、
なかなか興味深かったですね。
例えば、「過疎化が進む地方には医者が来ない」
とよく言われていますが、地方でも居心地(雰囲気)の良い病院には、
きちんと医者が集まるそうです。この本を読むと、
当たり前のことですが、医者も一人の人間であり、
自ら悩んだりすることも多いようですね。
医者も、「誰かに話を聞いて貰いたい」と思っているようです。
なんだか、うつ病の患者みたいですね…(^^;)

  • 病院にも、しっかりした「経営」が求められる時代に

病院には会社のような、
しっかりした経営方針が無いケースが多く
例えば人事部のような部門が無いため、
採用や採用後のフォローが、追いついていないようです。
そのため、医者が病院にマッチせず、
採用しても、すぐ辞めてしまったりしてしまうそうですね。
まぁ、「成績が良かったから、親に薦められて医者になった」
といった、モチベーションの低い医者も、中にはいるようですが‥(^^;)
少子高齢化社会が進行する中で、医療費削減の流れは止まりそうに無く
今後は病院経営も、厳しくなっていくものと思います。
昔とは違って、病院事業は、決して儲かる事業では
無くなってしまった、とのことですね。
まぁもっとも、「入院は、診療報酬が下がる2週間が限度」とか、
「手術室の稼働率を上げるために、不必要な手術を実施する」とか、
そんな「経営視点重視」の病院があったら、嫌過ぎですけどね‥(^^;)

  • 楽ではない、医者という稼業

もちろん我々患者側も、「不要不急の救急車や、救急医療窓口は使わない」
といったマナーを心掛ける必要がある、と著者は苦言を呈しています。
また、最近の訴訟リスクに医者は萎縮してしまっており、
産婦人科医の不足に拍車をかけているようですね。
「医者は高給取りだと思われているけれど、楽ではない」
といった感じですね。
そして、「良い病院」とは、「医者が働きやすい病院」であり、
病院側は「働きやすい環境整備」をすべきであると提案していますね。
お金(給与)の面だけではなく、業務量の軽減など、
医者自身をフォローしていくことを、求めていますね。
このあたりは、医者と関わる職業である著者だけに、
医者寄りの見解になっているのかな、と思ったりもしています…