「完璧志向が子どもをつぶす」(はてな年間100冊読書クラブ 66/100)

完璧志向が子どもをつぶす (ちくま新書)

完璧志向が子どもをつぶす (ちくま新書)

  • 自らの経験と、調査の結果から、子育てのあり方を提言

小児精神科医の著者が、自らの診察経験
(親の言いなりに育って来た、いわゆる「よい子」が
あるとき突然反抗してしまう)、
及び「現在と過去の、子育ての調査結果」を分析して
子育てについてのあり方を、提言している本ですね。
少子化が進む現代では、弟や妹の面倒を見ることなく
育児経験が無いまま成人して、親になるケースが多いです。
小さい子供に触れる経験が無いまま育った、
実際に初めて子供を持つと戸惑ってしまう、とのことです。
確かに、小さい頃に弟や妹の面倒をみていると、
その経験が大人になってからも残っており、
「昔取った杵柄」的に、威力を発揮しそうですね。
「子供が少なくなり、一人の子供に構うことが出来る」反面、
子育て経験の消滅というデメリットがあった訳ですね。

  • 「子育てには、正解無し」70点が満点

また、これはよく言われていることですが、
「唯一の正解がある」○×思考を計る試験に慣れていると、
子育てにも「唯一解」を求めてしまい(=完璧思考)
それが子供に負荷をかけている、としていますね。
「子供はひとりひとり違う存在であるため、子育てに唯一解は無い」
「子育てに完璧を求めてはいけない」という著者の主張が
よく理解できました。確かに、
子育て本などのマニュアル頼みになってしまうと、
「うちの子はマニュアル通りに成長していない」といった感じで
マニュアル本に振り回されて、焦ってしまいますね。
相手はモノではなく、自我を持った子供という
一人の人間なのですから、「マニュアルが全てあてはまる」
ということには、ならないですよね。
また、上記の通りこの本には、「子育ての調査結果」が
多量に織り込まれていますが、昔に比べて父親が
子育てに関わる機会は増えたものの、
存在感としては、「母親の実家」などの比重が増えて、
父親の存在感は、相対的に低下しているようですね…(^^;)
父親って、報われない存在ですねぇ‥(苦笑)