「「激安」のからくり」(はてな年間100冊読書クラブ 58/100)

「激安」のからくり (中公新書ラクレ)

「激安」のからくり (中公新書ラクレ)

  • 衛星で世界中を観測して、安く調達できる仕組みを構築

デフレ時代を象徴する「激安商品」に焦点をあてた本ですね。
ジーンズやパソコン、ハンバーガーなどの激安商品が、
どうやって作られているのか、そのからくりが説明されています。
「人件費の安い、中国などの場所で作る」
ということだけなら、どの企業も思いつくことですね。
これだけでは、驚くような安い値段を付けることは出来ません。
ハンバーガーショップの例であれば、
衛星で随時地球上を観測して、
小麦が豊作で余りそうな地域を見つけ出し、
(定期的に)大量に安く買い付けられる仕組みを作っている、
という感じです。まさにグローバルのベースで、
コストダウンの波が押し寄せているのだな、
と改めて実感してしまいました。まぁそのお陰で、
我々消費者は、激安商品を享受出来ている訳ですが。

  • スーツは、「日本人に合う商品」を作れる工場が人気

一方でスーツの場合は、「安かろう悪かろう」
いくら安くても、余りに着心地の悪い製品は売れないため、
長年の経験から「日本人に合う着心地の製品を作れる工場」が
多少工賃的には高くついてもも、重視されているようですね。
このあたりのノウハウは、デパートあたりよりも
紳士服チェーン店のほうが、先行しているようですね。
激安商品のほかには、「激安の人物史」として、
ダイエー中内功氏やイトーヨーカドー鈴木敏文氏、
ユニクロ柳井正氏について、触れられていますね。
まぁ、この3氏の業績については、他の本で読んだ経験があるため、
個人的には蛇足感がありました。
「この部分はカットして、もっと激安商品のからくりに触れて欲しい」
といった感じでしょうか‥(笑)
もっとも著者は、「ただ安くなるだけで良いのか?」といった
問題提起もしていますね。自らの身を削る、
儲からない戦いが続いてしまえば、メーカーも消耗してしまいますから‥