「“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか」(はてな年間100冊読書クラブ 57/100)

“35歳

“35歳"を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか

現在の35歳近辺の世代、
他世代よりも人数が多い「団塊ジュニア」世代は
景気低迷の影響を受け、非正規社員を中心に、
収入が増えずに、普通の安定した暮らしが出来なくなっています。
収入の低下が暮らしを苦しくさせ、
「結婚したくても結婚出来ない」未婚・非婚化の傾向が加速しています。
そして、結婚した人でも、「子供を作りたくても、お金がかかるので作れない」
といった感じで、出生率に上昇の兆しがありません。
このままでは、将来の日本は衰退の一途を辿る、と警告していますね。
私も、「団塊ジュニア」世代に該当するので、
この手の話題には関心が高く、本書のような内容の本はよく読みます。
まぁ、内容は「ワーキングプア」や「ロスト・ジェネレーション」あたりの
ルポルタージュ本と同じような感じ、
目新しさはあまり感じないのは、仕方の無いところでしょうか。
この本は、「35歳世代」の1万人に対して
アンケートを行っており、そのアンケート結果が、
本書の巻末にどどんと、大量に添付されていますね…(^^;)
下流社会」で著名になった、三浦展氏の著作群とは違って(笑)
サンプル数の多いアンケート結果は、説得力がありますね。

  • 皆さん、自責の念が強いのは、立派だと思います…

個人的にこの本を読んで考えさせられたのは、
本書に出てくる35歳世代の人達のインタビューで、
自分が今苦しい状況に置かれていることについて
「自分の努力が足りないから」、
「正社員にならなかった(なれなかった)自分が悪い」
といった感じで、皆さん結構自責の念が強いのですね。
私は、ロスジェネの一番の要因は、「バブル期には大量採用を行い、
不景気になったら一斉に採用を減らす企業が一番悪い」
と思っています…(笑)、私のように他責に走らず、
自責としてとらえる、本書に登場する皆さんのほうが、
自分よりも人間が出来ているな、と思いました‥(^^;)
また、切ないのは、「親が自分に対してお金をかけてくれたことが、
自分は子供に対して出来ない」というところですね…
「親は自分を大学まで出してくれたのに、
自分は子供を高校までしか行かせることが出来ない‥」
といった感じです。経済も成長しますから、
親よりも子供のほうが、豊かになっていく筈なのですけどね‥

  • 経済的に不安なく、子供を育てることが出来る社会に‥

本書では、対策として、出生率の低下に歯止めをかけることに
成功した諸外国の例も取り上げたりして、
「積極的な雇用」、「子育てのための生活支援策」といった対応を
していく必要がある、としていますね。
散々問題になっている年金問題もそうですが、
「経済的に不安なく、子供を育てることが出来るモデル」を
(年金なら、「老後の生活が不安無く送れるモデル」)を確立させ、
将来への経済的な不安を取り除くことが、必要でしょうね。
自分にとって身近な話題であり、深刻な内容であるだけに、
読んだ後では、いろいろと考えさせられますね‥