「鉄道・路線廃止と代替バス」(はてな年間100冊読書クラブ 52/100)

鉄道・路線廃止と代替バス

鉄道・路線廃止と代替バス

鉄道事業法が改正されたことにより、
公共交通である鉄道の、不採算路線の廃止が容易になりました。
そして、ここ10年弱で各地の民鉄が
相次いで廃止になっています。この本では、
上記の傾向を解説し、廃止された鉄道の代替バスに乗車して、
サービスの新旧比較や、利用状況を確認していますね。
鉄道やバスに興味のある人なら、
楽しめる内容に仕上がっていると思います。
鉄道雑誌等では、廃止後の代替バスについては、
あまりフォローされていなかったりしますからね。

  • 設備更新が出来ずに、廃止を選択

廃止の理由は、乗客の減少も勿論ですが、
老朽化した設備(車両、鉄橋、トンネル)などの更新に
多額の資金が必要となるため、その資金捻出が出来ずに
廃止を選択するケースが、多いように感じました。
地方自治体も、民鉄に直接資金を援助することは難しく、
その支援策は、実質的に負担を伴わない、
「固定資産税の減免」等に留まっているのが、現状のようですね。
設備の更新が出来ないのが原因であれば、
地元民が積極的に鉄道を利用するなどして、
乗客を増やす努力をしても、根本的な解決にならないので
難しいところですね…鉄道の設備の修繕も、
道路の修繕作業と同じような位置づけになれば良いのですが、
日本は「クルマ優先社会」ですからねぇ‥

  • 代替バスは、鉄道の半分程度の輸送しか無いケースが多いです‥

代替バスの全体的な傾向としては、鉄道当時と比べて、
客数は半分ほどに落ち込んでいるケースが、多いようですね。
残りは、クルマやバスなどの、
別の交通手段に流れてしまっているようです。
そのため、代替バスも廃止されてしまうこともあるようです。
また、日立鉄道の廃止のケースでは、
鉄道の廃止によって、鉄道沿線の市町村からの通学者が
減ってしまった高校もあるようですね。茨城県では、
県内のどの公立高校にも通える仕組みになっていますが、
交通機関の廃止によって、希望の高校に通えなくなっている
ケースもある、と批判していますね。

  • 生き残りを図るも、赤字補填期間が終わると、その後は‥

その他、設備投資の抑制等が原因による事故の多発で、
民鉄から第3セクターに経営が引き継がれた「えちぜん鉄道」、
JR可部線の末端部分(可部〜三段峡)、
つくばエクスプレスの開業により、
ドル箱の高速バス路線(東京〜つくば間)が廃止され、
会社が赤字を支えきれなくなって廃止になった鹿島電鉄、
大手民鉄からは、名古屋鉄道三河線西鉄宮地岳線
といった、様々なケースが取り上げられていますね。
また、経営母体が変わって生き残りを目指す
近鉄北勢線伊賀鉄道養老鉄道、和歌山電鉄といった例も
取り上げられています。ただ、地方自治体の赤字補填は
年数が限られているケースもあり、
その年数が過ぎてしまったらどうなるのか、
先行きは予断を許さないケースもありますよね‥
国鉄から第三セクターに転換された鉄道が
廃止されるケースとしては、「転換時に交付された交付金を、
全て使い切ってしまった」というパターンが、
多いですからね‥