「空港の大問題がよくわかる」(はてな年間100冊読書クラブ 46/100)

空港の大問題がよくわかる (光文社新書)

空港の大問題がよくわかる (光文社新書)

  • 空港の問題点を、財務の面から解説

日本の空港が抱えている問題について、記した本ですね。
空港が抱える問題というと、
静岡空港茨城空港に代表される、
必要のない空港ばかり作る航空行政の愚かさ」
という点が、クローズアップされがちです。
しかし本書では、空港の各種財務数値に、焦点をあてていますね。
関西空港には、国から支援金が支給されていますが、
その支給金は貸付金の利子となって再度国に還流している、
といった興味深い記述もありました。
空港の会計は、諸外国と比べて割高となっている
「航空機の離着陸料金」だけではなく、
ターミナルビルや駐車場の収入も加味されること、
しかし空港によって会計基準が違うため、
一概に比較は出来ないというのが、どうなのかという感じです。
搭乗率保証で有名になった、石川県の能登空港では、
行政機関を空港内に移設させて、
ターミナルビルに人を集めようとしているようですね。
これも一つの経営努力、といった感じでしょうか。
空港経営が民営化されたイギリスでは、
こういった取り組みが成功しているようです。
(もっとも、売却→買収が繰り返されたりして、
望ましくない買い手に買われてしまう、危険性もありますね‥)

  • 関西の三空港や、羽田と成田の課題も

もちろん、最近の話題である
関西の三空港(伊丹・関西・神戸)の今後のあり方や
今後進められる予定の、羽田空港の国際化などについても
触れられていますね。羽田空港と成田空港との連携を密にしないと、
韓国(仁川空港)などに、地方の客がどんどん吸い取られてしまう、
といった内容もありました。地方の空港は閑古鳥が鳴くも、
羽田空港や成田空港は、満杯で追いつかない状態なのですよね。
地方に手厚すぎて、一方、都心はインフラが足りないという、
自民党政治の基本的なスタンスが、
ここにも出ているな、という感じですね。