「勝手に絶望する若者たち」(はてな年間100冊読書クラブ 44/100)

勝手に絶望する若者たち (幻冬舎新書)

勝手に絶望する若者たち (幻冬舎新書)

  • 産業医の著者が、自らの経験を元にした、若者分析

産業医の著者が、自らのカウンセリング経験を元に、
若者たち(若手社員)について、分析した本ですね。
いわゆる就職氷河期組に心の病が多いが、
著者によるとこれは、「自分の能力がまだ無いことを直視できず、
やりたい仕事が出来ない」と絶望し、打ちひしがれてしまうことが
主な要因であるとしていますね。
ただ、これは今の若者たちに限らず、
昔もこのような現象はあったのではないでしょうか…?
「企画がやりたいのに、営業に回された…」とか。
入社後ほどなく離職するような社員は、
昔でも一定数はいたと思いますから。
「採用を控えたツケが回り、本来なら後輩達に回る業務まで
自分でこなさなければならず、若手社員が多忙になった」というのは
確かに一つの要因ではあると思いますが。
また、「成果主義」の導入も一因だとしていますけど、
成果主義の適用は、若手社員に限られてはいないですよね。
まぁ、若手社員に限らず、中堅社員・中間管理職にも
心の病は増えているそうですが…

  • 産業医なら、前向きな改善策を提言すべき

また、著者はタイトルの通り、
「若者たちは勝手に絶望している」と、
突き放した書き方をしていますね。
単なる普通の評論家なら、
そういった意見もありだとは思いますが、
著者は、会社で従業員の健康を預かる産業医ですよね。
それなら、そのような突き放すだけではなく、
この事象を改善する前向きな策を提言し、
自ら実施すべき立場ではないでしょうか。
もちろん、成果主義や人員削減など、
社会全体の問題でもあり、一産業医の著者が
出来ることなど、限られているとは思いますが…
そんな感じで、著者が何を言いたいのか、
今後どうするべきなのか、そういったところが見えないので
消化不良に終わってしまったかな、という感じですね。
「現代若者論」という大きなテーマではなく、
産業医の現場から」といったスタンスで書いたほうが
良かったのではないかな、と思いました。
「勝手に絶望する」若者たちの一人として、
一言言わせて頂きます…(笑)