「記憶はウソをつく」(はてな年間100冊読書クラブ 34/100)

記憶はウソをつく (祥伝社新書 177)

記憶はウソをつく (祥伝社新書 177)

  • 記憶は不確かであり、信憑性には乏しく…

人間の記憶というものは、大変に不確かであること、
また周りからの「誘導尋問」等によって、
簡単に偽の記憶を作り上げてしまうこと、
といった内容が、様々な実証実験の結果から
明快に説明されていますね。
本書内では実験結果が紹介されており、
その実証結果は、著者の主張を上手く補強していますね。
こうした実証結果がないと、
「著者の単なる想像では?」といった疑いがもたれてしまいますから。
この本を読んでいると、
特に注意等が向けられていない場合の、人間の記憶力は
非常に信憑性が薄いことが、実証されていますね。
このことにより、「証拠が、証人の目撃証言のみ」といったケースでは、
人間の記憶力に信憑性が薄いことにより、
冤罪の可能性が増えるということが、実感出来ますね。

  • 周りの誘導によって、偽りの記憶が植えつけられてしまいます…

また、警官や警察の誘導尋問は勿論のこと、
精神科医やカウンセラーの誘導によっても、
人間の記憶は歪められてしまうようですね。
こういうのも一種の「洗脳」、と言えるのかもしれません。
「親に虐待・レイプされた」といった記憶が「捏造」されて、
家族の絆の崩壊にまで至った例があるそうですね。
まぁ、ウソの記憶の捏造を試みるカウンセラーが
罪作りなのは勿論のことですが、
そんな、普通では有り得ないような
不幸な「捏造の記憶」を、例えばカウンセラーから
繰り返し吹き込まれることによって、
本人は当然のように信じ込んでしまいます。
本書で紹介されている、様々な記憶のメカニズムというものは
なかなか恐ろしいものがあるな、という感じですね。