「エアライン敗戦 格安航空来襲とJAL破綻」(はてな年間100冊読書クラブ 2/100)

エアライン敗戦―格安航空来襲とJAL破綻 (中公新書ラクレ)

エアライン敗戦―格安航空来襲とJAL破綻 (中公新書ラクレ)

  • JAL破綻で、急遽タイトルを変更?

本書は、そのタイトルからすると、
JALの破綻までのキュメント」を
描いているように見えますね。しかし、実際のところは、
世界の「格安航空会社(LCC)」についての記述が、
本書のメインを占めています。
「本書の編集中に、偶然JALが破綻した。
そのため急遽、一部の記事を新規追加して、
飛行機に興味のある人達だけではなく、
ビジネスパーソンも対象となるように、本のタイトルを変更した。」
といった内情があったのでしょうか…?(^^;)

  • 格安航空会社の、コストダウン手法

まず最初に、最近の航空業界の流れとして
スターアライアンスなどの、航空連合の成立」、
そして「世界的に、航空会社が集約傾向にあること」
自由な路線の設定を認める「権益の自由化=オープンスカイ」
「燃費の悪いジャンボ機の退役」などについて触れていますね。
そして、本書のメインである、
格安航空会社についての記載が始まっていますね。
機内食などのサービスを省く」、
「辺鄙な空港を利用して、空港使用料などの費用を削減」、
「折り返し時間の削減など、飛行機の効率的利用」
「定年パイロットの起用など、人件費の削減」
このような施策によって、大手航空会社よりも
安い運賃が提供出来ているようですね。
このあたりは、昔、本書にも取り上げられている、
アメリカのサウスウエスト航空に関する本を
読んだ経験があることもあって、
比較的すんなりと理解できましたね。

  • 日本では成長出来なかった、格安航空会社

また、格安航空会社の進出によって、
例えば「出稼ぎに出ているフィリピン人が
里帰りしやすくなった」といった、
飛行機が多くの人に身近な存在になった、
というメリットも、取り上げられていますね。
一方日本では、エアドゥなどの格安航空会社の
設立があったものの、政府等の支援が不十分であったことや
大手会社(JALANA)による、割安運賃の狙い撃ち
(=格安会社と競合する時間帯の便のみ、大幅値引する)
といった様々な妨害策があり、諸外国とは違って
格安航空会社は、成長出来なかったようですね。
そんな、格安航空会社が成長しないような状況でも
破綻してしまったJALって一体…という感じもしますが(笑)

  • ピープルエクスプレス航空とバー、懐かしいですな

また、格安航空会社の歴史についての記述の中に
「駆逐されたパイオニア」として、
ピープルエクスプレス航空と、
その設立者であるドナルド・バーが、
取り上げられていましたね。
ピープルエクスプレス航空といえば、
ビジネススクールグロービス」の、
「クリティカンル・シンキング」講座の
最終課題として取り上げられていますね。
バーの「カリスマ的経営手法」など、
仕上げるのに苦戦した課題と共に、
懐かしく思い出されたりしました…(^^;)