「佐藤可士和の超整理術」(はてな年間100冊読書クラブ 116/100)

佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和の超整理術

  • 「整理術」よりも、むしろ「仕事術」

アートディレクターとして著名な著者が、
整理術というよりはその仕事術について、語った本ですね。
本のタイトルを、「整理術」よりもむしろ「仕事術」に
変えたほうが良いかな、という感じがしました。
本書では、3つの「整理術」が取り上げられています。
このうち、ひと昔のベストセラー本「超整理法」に繋がるような、
一般的な「整理のノウハウ」について書かれているのは、
1番目の「空間の整理」の部分ですね。
2番目の「情報の整理」、3番目の「思考の整理」のパートは、
「整理のノウハウ」というよりは、
むしろ「仕事術」に繋がっていく内容かと思います。
整理のノウハウ的な内容としては、著者は、
「不必要な物は持たない」(筆記用具すら持たないそうです)
「パソコンのフォルダ名称は統一する」といった、
内容を挙げていますね。この部分は、特に目新しさも無く
まぁこんなものかな…という感じですね(笑)

  • 「答えは相手の中にある」、整理してそれを見つける

この本で面白かった部分は、整理のノウハウよりも
むしろ著者の仕事の内容のパートでしたね。
キリンの発泡酒「極生」、ユニクロNTTドコモの携帯電話など、
著者が手がけてヒットに繋がった広告について、
生みの苦しみのエピソードを語っています。
著者は「アートディレクター」ですから、
自らのセンスとか、誇示したくなるのではないかと思います。
しかし、その仕事術としては、
「自らの(優れていると自負する)アイデアを相手に提案し、
押しつけるの」では無く、「相手の思いを読み取ることを心掛け」、
むしろ自分の思考を押し殺すような感じで、展開していきますね。
芸術家らしくない仕事ぶりに、少々驚かされました。
「まずは現状を直視し、整理する」、「答えは相手の中にあるので、
整理した上で答えを見つける」といった感じですね。
あくまでも相手を主体にして、仕事をしていくという流れです。

  • 依頼者に喜ばれる、仕事のスタンス

相手が優秀な場合(例えばユニクロ柳井正社長)は、
上記の手法で佐藤さんがたどり着いた結論は、
柳井社長の思いと、はほぼ合っていたりしますね。
優秀な人同士のやりとりというのは、こんな感じなのかなと思いました。
また、このように「依頼者を重視して、依頼者の思いに
著者のノウハウを加えていく」という仕事のスタンスは、
依頼者を満足させることが出来るだろうな、と感じました。