「介護保険は老いを守るか」(はてな年間100冊読書クラブ 115/100)

介護保険は老いを守るか (岩波新書)

介護保険は老いを守るか (岩波新書)

介護保険制度が始まったのが2000年、
今年で誕生10年になるようですね。
その介護保険について、様々な問題点を論じている本ですね。
介護保険は、急激な高齢化社会の進行を受けて、
「高齢者の自立支援」を目的に始まりました。
しかし、「介護の社会化」と言いつつも、
財政危機にある国の、社会保障費用の削減も
念頭に置かれていたようですね。そのため、
介護保険適用後は、適用前に比べて
援助サービスの利用が制限されてしまい、
困惑する高齢者も多かったようです。
例えば、90歳を越える高齢者に「デイサービスに行け」といった、
ありえないような運用の例が、取り上げられていますね。
介護サービスのお世話にならないように、
健康に気をつけて、死ぬまで自立した生活を送りたいな、
と改めて実感してしまいました…(^^;)

  • 介護する側とされる側、どちらにもジレンマが…

また、介護レベルの認定や同居の判断など、
(車で○分以内なら、同居認定されてしまうそうです)
人的な判断により、介護保険の利用可能サービスや
利用可能金額が決まってくるため、
不平等感等も拭えないようですね。介護をする業者の側でも、
「サービスしたいのだが、制限があって出来ない」といった
ジレンマを抱えているようですね。
もっとも、介護業者も、撤退したコムスンをはじめとして、
補助金をあてにした、悪質な業者も存在しているようです。
法律や制度というものは、デスクワークのお役人が作るものなので、
実態が見えていない、実態に合わないケースが
多々生じてしまうようですね。お陰で、介護する側とされる側、
両方が不便を感じているようですね。
法律の制定や改訂にあたっては、本書の著者のような、
「現場を見てきて、実態を把握している」人が参加して、
実態に合った運用になるように、して貰いたいものです。