「松下幸之助が考えた国のかたち 「無税国家」「収益分配国家」への挑戦」(はてな年間100冊読書クラブ 104/100)

松下幸之助が考えた国のかたち

松下幸之助が考えた国のかたち

松下幸之助が起こした「松下政経塾」、
その塾生が、ここ最近は若手の議員として
政界に登場して来ることが、多くなってきていますね。
その「松下政経塾」の理念ともなっている、
塾の創立者松下幸之助の政治理論を、まとめた本ですね。
松下は、勿論松下電器産業(現パナソニック)の
創業者として著名ですが、その企業活動を通じて、
重税に対する義憤から憂国の情を抱き、
松下政経塾」の設立などの、政治活動に出たようですね。
政経塾生が、日本を良くしていく」ことを目標にしたものの、
政経塾党」といった、政党を作ることはしなかったようです。
民主党でも自民党でも、「日本を良くする」という点で
政経塾生が貢献できれば良い、という感じですね。
その松下の理想とは、「重税に対する義憤」から出ていることもあって、
「無税国家」・「収益分配国家」というものです。

  • 埋蔵金を運用していけば、将来は「無税国家」が実現

「収益分配」というのは、さすがは「企業経営者」ですね。
「国家にも、株式会社の理論をあてはめる」という感じですな。
また、国家は毎年予算を使い切るのではなく、
予算を余らせるようにして(一種の「埋蔵金」ですね)
その埋蔵金を運用するようにすれば、埋蔵金が増加して
最後には埋蔵金の運用益で国家予算が賄え、
将来的には、「無税国家」が実現出来る、という感じですね。
ここ最近は低金利がずっと続いているため、
埋蔵金は思うように増えない気もしますけど、
なかなか面白い考え方であると思います。
「予算消化で、年度末に道路工事が増える」といった
現象のように、官僚達は予算を無理やり消化している、
という印象は伺えるので、その余った予算を積み立てて
運用していけば、お金はどんどん増える、という感じですね。

  • 間接税の増税は、個人的には納得出来ないですね…

また、松下の理論のもう一つの大きな柱である「重税」については、
松下は「企業経営者」であり、「高所得者」でもあるため、
高税率の「法人税所得税」の税率を下げて、
消費税のような「間接税」を普及させる、というものですね。
う〜む、私のような低所得者にとっては、
直接税(所得税)の税率低下は、
それほど大きな効果は無いと思われます‥(苦笑)
間接税(消費税)の税率UPは、
(本書は、消費税の導入前のため、
「間接税を導入すべき」という主張になっています)
生活必需品の課税免除等の措置を導入するといった、
低所得者向けの配慮がなされない限り、
納得出来かねるものがありますね。
この感覚の違いは、ブルジョアプロレタリアートとの違い、
でもあるのかな、と思います。