「わが友・小沢一郎」(はてな年間100冊読書クラブ 97/100)

わが友・小沢一郎

わが友・小沢一郎

  • 小沢さんは、口下手で説明不足だけど、真っ直ぐな政治家

元・民主党参議院議員で、小沢一郎さんの側近ともいえる
存在であった著者が、小沢さんについて語った本ですね。
元側近とはいえ、喧嘩別れ等をした訳ではないため、
小沢さんについて、肯定的な記載が並べられていますね。
全般的な内容としては、「小沢さんは、口下手で説明不足のため
誤解されやすいけれど、ひたむきに真っ直ぐな政治家である」
というものです。小沢さんの行動は、その全てが
「自身が理想としている、政治理念(共生社会)の
実現に向けてである」、という感じの論調ですね。

  • 小沢さんを巡る、様々な経緯が、その側近の目から

小沢さんは、「自民党をぶっ壊す」という意気込みで、
自民党を離党し、非自民の細川連立政権を打ち立てます。
しかし、その後は自民党(主に野中弘務氏など)の逆襲にあい、
新進党の解党、自由党の分裂など、苦汁を飲まされることになりますね。
上記の自民党の下野以来、常に政変の中心に
位置していた格好のある小沢さんですが、
その小沢さんを巡る当時の経緯が、
小沢さんの側近の著者の視点から、描かれていますね。
側近とはいえ、著者はしばしば小沢さんと衝突していますが(苦笑)
たとえ一度は衝突しても、小沢さんは正しいと思った意見は
素直に受け入れる度量を持っていたようですね。
一方で著者は、野中氏を中心とする自民党守旧派や、
同じ民主党内でも、「マスコミに踊らされる反小沢メンバー」
に対しては、厳しい見方をしていますね。

  • ただ、昨年と今年では、状況が変わってしまっているので…

本書は、昨年の、西松建設からの違法献金問題を巡って、
民主党の代表を辞任した経緯を踏まえて書かれていますね。
今年の、小沢さんの関連政治団体陸山会
不正経理問題については、発行時期の関係から
触れられてはいないですね。西松建設問題については、
自民党政権時代の、総選挙直前の発覚でした。
同じように西松建設から献金を受けていた
自民党二階俊博氏が不起訴になっていることもあり、
「検察ファッショ」、「自民党政権の意を受けた国策調査」の
疑いが想定され、本書の内容は信憑性が高いのかな、
という感じがしました。しかし、今年の再度の
政治献金関係の問題発覚を鑑みると、「小沢さんは、
政治献金については最もクリーンな存在である」
と主張する本書の内容について、少々疑問に思えてしまいますね…
側近だけあって、美化して描かれすぎではないのかな…と思います。