「日本一の変人経営者 Coco壱番屋を全国チェーン店に育てた男の逆境力」(はてな年間100冊読書クラブ 96/100)

日本一の変人経営者

日本一の変人経営者

  • 我流でがむしゃらに、壱番屋チェーンを築き上げた著者

カレーのFCチェーン「Coco壱番屋」を創業した筆者による、
壱番屋グループの経営理念が、書かれている本ですね。
タイトルには「日本一の変人経営者」とありますが、
いわゆる「普遍的な経営戦略」とかを振り回すのではなく、
「ひたすら我流で、がむしゃらに」進んできたところから、
「変人」と自嘲されているのかな、という感じですね。
その我流の経営理念とは、
「ニコニコ、キビキビ、ハキハキ」をモットーにして、
「お客さまに誠心誠意接客すれば、
最終的にお客様の信頼を得られて、お店は繁盛する」
という感じですね。ただ、「お客さまに誠心誠意応対」とはいえ、
安売りなどで迎合することは、しなかったようですね。

  • 恵まれない生い立ちながらも…

ただ、著者の生い立ちは、凄まじかったようです。
実の親は不明で、施設から養子に引き取られたものの、
引き取り先の養親がギャンブルに狂って、
極貧の生活を強いられたそうですね。
こういう人を養親に指名してはいけない、
典型的な失格養親って感じですな。
とはいえ、そんな悲惨な家庭環境ながらも、
著者はグレたりすることが無かったのは、凄いなと思いますね。
不動産業に就職後、独立して不動産業を開業します。
そして接客の面白さに目覚めて、喫茶店を開業しますね。
その後の大成功を考えれば、著者にとって
接客業はまさに「天職」であったと言えるでしょうね。
上記の「ニコ、キビ、ハキ」といった著者の経営理念も、
まさに接客業向きであると思います。

  • 茶店からカレーショップに転じて

「真心の接客」で、喫茶店は繁盛しますが、
オーナーとの会話がで成り立つような面もある喫茶店の経営では、
拡大路線に限界を感じてしまい、
茶店からカレーショップ経営に転じますね。
そんな著者の決断を支えてきたのが、著者の奥さんでしょうか。
もっとも、喫茶店経営時には店長を務めたりと、
内助の功というよりは、経営のパートナー言えるような
感じですね。著者の、そしてCoco壱番屋の成功には
著者の奥さんが果した役割が、非常に大きいと思いました。
そして、著者の仕事ぶりも凄いですね。
社長自ら早起きして出勤、率先垂範して働きます。
著者に限らず、いわゆる創業者社長は、
仕事熱心な、パワフルな例が多いですよね。
著者は、「会社の経営で、人材育成には、特に心掛けてはいなかった」と
この本の中で書いています。しかし、率先垂範して働いている
社長の姿を見て、人材が自動的に育ってきたのでしょうね。

  • 「真心の接客」は、「現場第一主義」

そんな著者の「真心の接客」の例として、
「早起き」と並ぶ著者の信念、「掃除」がありますね。
「店員が店の周りを掃除し続ければ、
その姿を目にした近所の顧客が、
店を信用して来店してくれるようになる」といった感じです。
また、店舗の掃除を重視したり、頻繁に店舗を訪れたりといった
著者の姿勢は、「現場第一主義」ですよね。
FC経営者の第一の要件としては、
「真心の接客が出来て、店舗の運営に集中出来ること」
といった感じですね。まさに徹底的な「現場第一主義」ですね。
壱番屋チェーンは、フランチャイズチェーンですが、
FCでは常識の「ロイヤリティ」を、特に徴収していないようですね。
(各店に提供する、カレーの食材に利益を乗せており、
それで本部の運営を賄っているようです。)
ロイヤリティを徴収しなくても、社長自ら店舗を訪れ
店舗運営のアドバイスは欠かさなかったようです。
コンビニのセブンイレブンなど、ロイヤリティが高くて
厳しい店舗運営を強いられるFC形態が多い中で、
壱番屋のこのロイヤリティを徴収しない経営スタンスは、
確かに少々異色な感を受けました。
もっとも、しっかり儲かってはいるようですが…(^^;)