「マリア様がみてる 私の巣」(はてな年間100冊読書クラブ 92/100)

マリア様がみてる 35 私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)

マリア様がみてる 35 私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)

マリア様がみてる」シリーズの、
外伝というか、番外編という位置づけの作品ですね。
今回の番外編は、本編と同じリリアン女学園
舞台にしています。また、主人公の朝倉百は、
本編のメンバーの二条乃梨子ちゃんや松平瞳子ちゃんと
同じクラスという設定ですね。
そのため、彼女達もちょこっと登場はしますが、
本編の進行には影響の無い程度です。
前作「リトルホラーズ」が、
一部本編+大部分は番外編と、いう構成でしたから、
最初は「また番外編か、いい加減本編を先に進めて欲しい…」
という気持ちでした。しかし今回は、意外にも(ぉ
なかなか面白かった番外編でしたね。

  • 一冊で一年が経過、「マリみて」本編とは雲泥のスピード感です…(笑)

ストーリーは、以下のような背景を元に、進んでいきます。
主人公の朝倉百は、父の死後、母と二人で暮らしています。
仕事で忙しい母に替わって、毎日家事を切り盛りする毎日です。
しかしある日、母が再婚を決めます。
再婚して、継父の家に移り住むことになりますが、
この家が、伝統のある数世代同居の巨大なお屋敷で、
果たして上手くやっていけるかどうか不安で…という背景ですね。
そして、短めのストーリーが数本収録されています。
番外編だけあって、ストーリーを全て経ると
時間が1年、経過することになりますね。
なかなか時間が進まない本編とは、雲泥のスピード感ですな…(笑)
ストーリーは、再婚話が決まって百が体調を崩すお話、
引越し当日に、百が持ってきた
「ぬか漬け」の甕が行方不明になるお話、
クリスマスの行事がタブーになってしまった、
誤解の原因を説こうと皆が奮闘する話、などが収録されています。

  • 登場人物が皆、温かい人柄で‥

ただ、移り住む先の継父一家の登場人物が
皆「いい人」ばかりなのですね。
例えば、上記の「ぬか漬け」の甕をめぐるお話など、
彼等の言動が、相手に対する思いやりにあふれていて、
読んでいてほのぼのするというか、心が温まるという感じです。
最近は、継父・継母が子供を虐待して死なせてしまう、
というニュースがマスコミを賑わす事が多いですが、
そんな世の中ということもあって、
本書に登場する人物達の行動に、
癒されるところがあるかな、という感じですね。

  • 性格が正反対だと、逆に惹かれあう…?

あと個人的には、継父一家の中で、
主人公・百にとって一番身近な存在となる、
一年先輩にあたる(但し系譜上は大叔母…笑)
筒井環というキャラが、個人的にはお気に入りですね。
萌えとか、そういうタイプとは違うのですが(笑)
明るくてさばさばしている、キップのいい性格って感じですね。
家事全般をこなしていたりしている、
大人びたところのある百とは、正反対のキャラって感じですね。
百は料理が得意で、高校生ながら「ぬか漬け」を
作っていたりするような性格ですが
環は逆に料理は全くダメで(笑)
百が作るおにぎりが、好物だったりしています。
正反対ということもあって、お互いに自分に無いものを
求めあって、惹かれあうものを感じていたりするようですね。
ここが、ちょっとした百合関係かな、というところでしょうか。
そんな性格ながらも、環は外見上は美少女、という設定も
個人的にお気に入りの理由かもしれないですね…(笑)