「フィギュアスケートに懸ける人々 なぜ、いつから、日本は強くなったのか」(はてな年間100冊読書クラブ 81/100)

フィギュアスケートに懸ける人々-なぜ、いつから、日本は強くなったのか (小学館101新書)

フィギュアスケートに懸ける人々-なぜ、いつから、日本は強くなったのか (小学館101新書)

  • 関係者の様々な偶然の出会いが重なって、今日の繁栄に繋がって‥

日本のフィギュアスケート選手達が、
バンクーバーオリンピックでも活躍を見せたことは
まだ記憶に新しいところです。
この本では、日本がどのようにして、
フィギュアスケートの強国になっていったのか、
その過程が、記されていますね。
元々は底辺が広くなかったフィギュアスケートですが、
それゆえに、狭い世界ということもあって、
関係者の様々な偶然の巡りあわせが沢山重なって、
今日の繁栄に結実したんだな、という感じがしました。

  • 小さい頃の慣れ親しみが、二世選手の利点

競技人口が少ないこともあり、二世選手が多いことも
フィギュアスケート界の特徴、という感じですね。
例えば、バンクーバーオリンピックに出場した
小塚崇彦選手は、父も祖父もフィギュアスケート選手でした。
また、名指導者・佐藤信彦さんの娘が、
スケート選手の佐藤有香さんだったりしていますね。
二世選手、スケート一家に生まれて、
小さい頃から氷に親しんでいたことなどにより
下地が出来ていたことが、成功に繋がった、という感じですね。
また、両親が精神面でもよき理解者になれるようです。
小塚選手も、選手としての悩みや苦労を
親が理解してくれて、助かったと述べていますね。
また、フィギュアスケートは、衣裳代など大変お金が掛かるため、
理解がないと続けられない、というのもあると思いますが‥
お金といえば、小塚選手や安藤美姫選手で有名な
中京大学は、立派なスケートリンクを持っています。
予想以上にお金が掛かるため、生徒の授業料では賄いきれずに、
企業に寄付をお願いしたりもしているようですね。

この本で一番印象に残ったことは、
日本のフィギュアスケート界に大きな足跡を残した
伊藤みどり選手と山田満知子コーチのエピソードでしたね。
伊藤みどり選手は天才肌でしたが、
練習方針を巡っては、山田コーチとは
壮絶なバトルを繰り広げていたようですね…(笑)
また伊藤選手は複雑な家庭に育ったようで、
山田コーチは親代わりの役目も、果たしていたようです。
山田コーチは伊藤選手のような有名選手を教えながらも、
地元のリンクで、子供達にスケートを教えることを
大切にしているようですね。
もっとも、加熱する親御さんの意向に反して、
「この子の能力はここまで、これ以上は無駄です」
といった、能力の見極めは冷静に行っているようです‥(^^;)

  • プロスケートの経営は苦しく‥

あと、アマチュアだけではなく、
プロスケートの世界にも触れていますね。
西武グループの総帥・堤義明氏の
ウインタースポーツに果した役割は大きく
(西武・国土計画が、スキー場などを持っていたことが
理由ではありますが)、その中の一つとして
「プリンスアイスワールド」を取り上げていますね。
伊藤みどり選手が、引退後に所属していた
プロスケート公演の団体ですね。
とはいえ経営は苦しく、子供向けに着ぐるみを着て滑ったりと、
所属のスケーターは長年苦労を強いられたようです。
そんな感じで、過去から現在のスケート界を
簡潔に眺めることが出来た本、って感じでしたね。