「斎藤孝のざっくり!美術史 5つの基準で選んだ世界の巨匠50人」(はてな年間100冊読書クラブ 56/100)

齋藤孝のざっくり!美術史

齋藤孝のざっくり!美術史

  • 誰でも美的センスはある、積極的に美術に触れてみよう

言語学者斎藤孝さんが、題名の美術史というよりは、
「美術(絵画)の楽しみ方」について、
「斎藤流」の考え方を語った本ですね。
「現代はデザインに囲まれた生活をしているから、
誰でも美に対する感覚は養われている。
だから「解らない」と思わず、
積極的に美術館に行くなどして、沢山良いものを見よう。」
という感じの、著者の主張になっていますね。
興味のある人は、積極的に美術館に行きますが、
興味の無い人は、最初から「絵なんて解らない」と
引いてしまっているそうです。
この本は、主に興味の無い人に向けた内容、って感じですね。
私は、美術に関心はありますが、
現代美術については「理解出来ないな〜」と思っていました。
この本の中では、「現代美術は、描いている時に
作者は大変気分が良かったのだろうな、
と想像しながら、鑑賞するのが良い」とありました。
なるほど、そういった鑑賞の仕方もあるな、と思いました。
現代美術って、そのキャンバスの内容を
理解しようと思っても、理解出来ないですからね…(笑)

  • 5つの基準を設けて、画家を選抜

この本では、画家を選抜する基準として
「うまさ」、「スタイル」、「ワールド」、「アイデア」、「一本勝負」の
5つの基準を設けていますね。各基準では、
「うまさ」として、ダヴィンチやフェルメール
「スタイル」として、モネ(光の表現)やルノワール(人物画)、
「ワールド」として、ミレー(農民)やムンク(不安な時代)
などがあげられています。
この「基準」は、色々な画家が、自らの「個性」を出そうとして
こだわった箇所とも言えますよね。
周りとは違うオリジナリティを確立した画家が、
評価されて後世まで伝えられていく、といった感じでしょうか。
ただ、普通の単行本のため、写真の画像が少なめなので
斎藤さんの解説が、イメージが沸き辛いところがあるのが
少々残念って感じですね。是非、画像を沢山乗せた
図鑑のような形で、改訂版を出版して貰いたいものです。
著者の斎藤さんは「小さい頃、この本にあるような感じで
教えて貰いたかった」と本の中で書いていますけど、
図が多くなれば、この本が学校で副教材として
採用される可能性もあり、それも可能になるのではないでしょうか?