「一流力 サムライジャパン勝利の理由」(はてな年間100冊読書クラブ 39/100)

一流力―サムライジャパン勝利の理由

一流力―サムライジャパン勝利の理由

  • 与田さんの自伝も、盛り込まれています

昨年・2009年のWBCで優勝した、
侍ジャパン」のブルペンコーチを務めた
与田剛さんが書かれた本ですね。
タイトルだけ見ると、全編WBCについて
書かれていると思いがちですが、
与田投手自身の、自伝のような箇所もあります。
与田さん、最近は不倫騒動が問題になってしまいましたけど…(^^;)
与田選手は、現役時代は中日ドラゴンズに入団して
新人王を獲得しています。
そのため、私のような中日ファンにとっては、
懐かしく、そして少しほろ苦く
(与田投手、1年目の新人王獲得後は、
故障がちであまり活躍が出来ませんでした。)
読ませていただきました。
当時の星野仙一監督の、無茶すぎる指示とか…(笑)
ただ、与田投手の現役時代を知らないような、
若い野球ファンがこの本を読むと、
与田投手の自伝の箇所は、
蛇足に思えてしまうかもしれないですね…

  • 「コーチ」の役割は、選手が気分良くプレー出来るようにすること

WBCのコーチとしての、与田さんの役割ですが、
選出された選手は皆、球界を代表する一流選手のため、
「コーチとして何か教えるのではなく、
選手たちに気持ちよくプレーをして貰うよう、心掛けた」
とのことですね。いわばチーム内のムードメーカー的な
役割が求められた、ということでしょうか。
一般的なコーチとして求められる、
例えば技術や戦術の伝授、といった役割とは、
少し違っているな、という感じですね。
まぁ確かに、既に一流の選手達に
これ以上何を新たに教えるんだ、
という感じもしてしまいますから…

  • 納得させるためには、「調子の良い選手を使う」

また、一流選手が揃っていることもあり、
皆それぞれ、自分のプライドがありますから、
与田さんや原辰徳監督をはじめとした首脳陣は、
選手達を納得させるために、
「調子の良い選手を使う」ことに、
こだわったようですね。
これは、北京五輪の「星野JAPAN」が、
調子を落としていた選手や怪我持ちの選手を起用して
結果が出なかったことへの反省があると思います。
また、それぞれがプライドの高い選手たちに対して、
起用を納得させ、気分よくプレイして貰う為には、
そういった、「明確な基準」を設けておくことが
必要になってくるのでしょうね。
まぁそれでも、メンバーの一人、藤川球児投手が、
WBC終了後に「WBCは今回で最後」という
発言をしたと聞いたときには、
与田さんは、ケアが十分ではなかったと
後悔されていますね…

  • 色々プレッシャーもあって、大変でしたね

そんな感じで、この本では、
WBCの首脳陣の思惑が伺える内容でしたね。
WBC中不振に苦しんでいたイチロー選手など、
選手については、WBC終了後に
テレビで取り上げられる機会が、割とありましたね。
しかし、首脳陣については、
原監督がすぐ、巨人の監督としてペナントレース
戻ることになったりしたため、
WBC中の首脳陣の様子がどうだったのか、
あまり取り上げられる機会は、無かったと思います。
投手陣のやりくりに悩まされたり、
起用に関する、選手のプライドのケアに配慮したりと
色々大変だったんだな、と実感させられました。