「余命1ケ月の花嫁」(はてな年間100冊読書クラブ 38/100)

余命1ヶ月の花嫁

余命1ヶ月の花嫁

  • 若い時期のがんは、再発可能性が高い上に、進行が早く…

少し前に反響を巻き起こした、
テレビ番組を書籍化したものですね。
がんと診断され、余命1ヶ月と診断された二十代の女性が、
診断通りにほぼ1ヶ月で亡くなるまでを追った
リアルドキュメント、という感じの内容ですね。
その女性は、乳がんと診断され、
一度は摘出手術を受けたものの、
再発してしまったとのことです。
未婚の女性にとっては、大切な乳房を切除することになります。
その事実だけでも辛いはずなのに、完治するどころか
がんが全身に転移して、再発してしまいますね。
再発に気づいたときには、
もう助からない状況になっていたようです。
がんという病気は、特に若い人にとって
改めて厄介な病気だと、認識してしまいました。

  • 本人には伏せられた「余命1ヶ月」

「余命1ヶ月」という告知は、本人には伏せられたものの、
彼女の周りの人は、全て認識しています。
周りの人が悲しみをこらえながら
彼女に接しているくだりは、読んでいてしんどいですね…
「余命1ヶ月」の彼女の最後の願いをかなえようと、
友人はウエディングドレスが試着出来る会場を探します。
そして、彼氏と一緒に「サプライズ結婚式」が行われますね。
ここは涙を誘う場面ですねぇ。
彼女の母もがんで亡くなっており、
モルヒネを注射するのが、死に近いタイミングだったことから、
彼女はモルヒネの注射を拒否したりするくだりとかは、
「知り過ぎたが故の不幸」、といったところでしょうか。
死ぬまで誰も彼女に告知しなかったようですが、
日に日に弱っていく自分の状況と、
同じがんで無くなった母の様子を見た経験があることから、
彼女自身もおそらく、悟っていたのではないでしょうか。

  • 書籍上でしか出来ない(したくない)追体験ですね

結果的に、彼女は「余命1ヶ月」の
ほぼ予想通りに亡くなってしまいます。
奇跡など起きないところが、小説などの物語ではなく、
実際のルポルタージュって感じですね。
このような追体験は、書籍上でしか出来ないため、
(まぁ、実際に体験したくは無いですが…苦笑)
貴重なドキュメントだと思います。
いあ、当たり前過ぎることなのですが、
人間は健康で生きていられるだけで、幸せなのですね。
この本を読んで、改めて実感してしまいました。