「彩雲国物語 黄梁の夢」(はてな年間100冊読書クラブ 30/100)

  • 今回は、重く暗めのストーリーが多い、外伝の短編集

人気の「彩雲国物語」の外伝集ですね。
今回の外伝は3本立てですが、静蘭・燕青・邵可という、
「暗い影を持つ人物…笑」が主人公のため、
ストーリーも暗く重く仕上がっていますね…(^^;)
まぁ、その分内容的には、しっかり読ませてくれますね。
主人公の紅秀麗の登場は、今回はほとんど無いのが残念ですが、
上記3人のファンであれば、本編を補完してくれる
外伝集ではないでしょうか。
1本目は、静蘭の公子時代のストーリーですね。
静蘭は、凄い大人びた、嫌な子(笑)に仕上がっていますね。
しかし、圧倒的な威厳を持つ父を持ち、
そして母親とは感情が入り混じった複雑な関係…
静蘭が難しい人格に仕上がるのも理解出来るかな、という感じですね。
そんな重苦しい雰囲気が全編を支配していますが、
本編では悪友となっている、藍楸瑛との出会いのエピソードは
なかなか和むものがありますね(笑)

  • 秀麗の父と母のエピソードもあります

2本目は、燕青の昔のエピソードですね。
富裕な一家に育って幸せな生活を送っていた子供の頃の燕青ですが、
家族全員を皆殺しにされてしまい、復讐を誓って…という展開です。
これは血生臭くて凄惨、なかなか強烈なインパクトがありましたね。
燕青、武に長けるには、長けるだけの理由があった、
というところでしょうか。そんな中で、
本編では「腐れ縁」ともなっている、静蘭との出会いもありますね。
燕青の「お師匠様」も、なかなかぶっ飛んだ人物ですな(笑)
静蘭の父に燕青の師匠、
今回の短編に登場する人物は、超個性的ですね(笑)
3本目は、秀麗の父である邵可と、
秀麗の母の薔薇姫の、命がけの恋物語ですね。
本編の主人公・秀麗のルーツでもあり、
秀麗の運命を左右する、重要な内容の外伝かと思います。
なぜ薔薇姫が捕らわれたのか、
そして「薔薇姫を殺しに来た筈の」邵可が、
その薔薇姫と結ばれるまでを描いています。
父と母にまつわるストーリーでも、
ラブラブ&ハッピーの要素は少ないですな…(苦笑)
「薔薇姫」自体は、本編でも、秀麗の運命の伏線?として
時々登場しますが、薔薇姫についてしっかり書かれたのは、
初めてではないでしょうか。ただ、薔薇姫の運命を考えると、
全てが終わって、秀麗が生き残れるかとなると、
微妙な感じがしてしまいますね…