「マリア様がみてる リトルホラーズ」(はてな年間100冊読書クラブ 5/100)

マリア様がみてる 34 リトルホラーズ (コバルト文庫)

マリア様がみてる 34 リトルホラーズ (コバルト文庫)

  • 「新シリーズの第1作」ですが、ほんのちょこっとだけ…

この「マリア様がみてる」シリーズは、
前作「ハローグッバイ」で、
「祥子・祐巳編」が完結して一息つきましたが、
今作は、新しいシリーズ、
さしずめ「祐巳瞳子編」の始まりという感じですね。
もっとも、新シリーズの第1作にも関わらず、
過去に雑誌に掲載された短編集が中心で、
「新シリーズ第1作」に相当するストーリーは、
短編の間にちょこっと織り込まれているだけ、
というのは少し残念な気がしてしまいました…
第1作だからこそ、今後の展開に読者が興味を抱くような
全編オリジナルのストーリーを、
期待したかったところなのですが…

  • 本編とほとんど関係ない短編はどうなのかと…

加えて、今回収録されている短編集には
本編のキャラは全く登場しません。
「舞台がリリアン女学園」というのが、
本編との唯一の接点、という感じですね。
そうなると、もはや外伝でも
なんでも無いような感じもしてしまいます…
リトルホラーズ」というタイトルの通り、
各短編には、「ホラーっぽいストーリー」という
共通点はあります。ただ、ホラーだけであれば
マリア様がみてる」シリーズの看板は
無くても良いのでは…と思ってしまいます。
初期の頃の短編は、本編登場人物の
武嶋蔦子さんにまつわるエピソードだったりして、
本編とも関連していて、当時は楽しめたんですけどね。
昔は、短編が掲載される雑誌「Cobalt」を
発売日にチェックしていたりもしたのですが、
最近はすっかり関心がなくなってしまいました…(苦笑)

  • 菜々ちゃんの歓迎会と、成長した祐巳ちゃん

その「短編の間にちょこっと織り込まれている」本編ですが、
新・黄薔薇さまである島津由乃さんの妹になった
有馬菜々ちゃんの歓迎会にまつわるエピソードでしたね。
菜々ちゃんに内緒で準備を進める山百合会メンバーの様子を、
その内緒にされている菜々ちゃんの視点から描いています。
そのため、読者も菜々ちゃん同様、
様々な疑問を抱きながら、読み進めていくことになりますね。
しかし、菜々ちゃんに水漏れを信じ込ますために
わざわざ水をぶちまけるとは…
1階で下の階に水漏れする危険性が無いとはいえ、
さすがは猪突猛進の由乃さん、って感じですな…(笑)
あと、新・紅薔薇さまとなった福沢祐巳ちゃんですが
すっかり大人になったというか、
しっかりしてきましたね(笑)
お姉さま(由乃さん)と一緒の剣道部に入部した
菜々ちゃんの不安を取り除いたり、
部活をサボろうとする由乃さんをたしなめたりと、
昔の祐巳ちゃんからは想像できない
落ち着きっぷりですね…(笑)