「夕凪の街 桜の国」

  • 「100円セール」なので、気軽に借りた一本

先日、「夕凪の街 桜の国」という映画を、DVDで見ました。
近くのゲオで、「DVD100円レンタルセール」を開催していたため、
100円ならお得ということもあって、
手当たりしだい何本か借りてしまった、
そのうちの一本であった、という感があるのですが‥(^^;)
この映画は、いわゆる「戦争・原爆をテーマにした映画」
という感じでしょうか。
原爆を落とされた後の広島を舞台に、
原爆の後遺症に苦しむ人たちを取り上げた映画、ですね。

  • 前半の「夕凪の街」は、まだ戦後間もない広島が舞台

タイトル通り、映画は2編に分かれています。
前半の「夕凪の街」は、戦後にスラム街となった広島が舞台です。
その広島で、原爆で父と妹を亡くし、
生き残った母と二人で暮らすのが、主人公の平野皆実ですね。
小学生?頃の被爆から何年も経ち、
広島の街も一見戦争の傷が癒え、主人公・皆実には、
勤務先で恋人が出来そうになったりもします。
しかし、自分に背負われて死んだ妹のことなどが頭をよぎり、
「自分だけ幸せになっていいのか」
と煩悶し、恋人を素直に受け入れられることが、
出来なかったりしてしまいます。
そんな皆実に、戦後何年も経ってから、
原爆の後遺症が現れて‥という感じの展開ですね。
主人公は発症後、若くして亡くなってしまうのですが、
その最後の言葉が印象に残りました。
確か「もう一人殺せて満足してる?」とか、
そんな内容のセリフだったかと思いましたけど、
このセリフに原爆の悲惨さが凝縮されているような、
そんな思いを抱きました。
この芯の強そうな、そしてはかなげな両面を持つ
皆実役は、麻生久美子さんが演じていましたね。

  • 後半の「桜の国」は、現代が舞台

後半の「桜の国」は、「夕凪の街」の主人公・皆実の
姪にあたる、石川七波というキャラが主人公ですね。
定年退職した、七波の父・旭(=皆実の弟)が
突然家を抜け出してどこかに出掛けます。
父の後をつけた七波は、途中で偶然昔の親友に出会います。
彼女と一緒に父の後を追いかけて、
勢いで広島行きの夜行バスに乗り込んでしまう‥という展開ですね。
父は、亡き姉に縁のある人々(上記の恋人など)を
尋ねるために、広島に向かっていたのでした。
また、七海の母(=旭の妻)は被爆者で、
若くして亡くなっています。
また、この偶然出会った昔の親友は、
母が亡くなった悲しい当時を思い起こさせることもあり、
七波にとっては歓迎出来ない存在って感じでした。
ただ、父を追いかけて伯母の墓にお参りしたりするうちに、
七波も原爆に対する思いを昇華出来た‥
という感じのストーリーでした。

  • 穏やかに、しかししっかりと戦争の傷跡を描いた作品‥

「戦争映画」というと、
洋画の「プラトーン」に代表されるような、
「戦争時の悲惨な状況を描いた」という内容が多いです。
しかし、この映画のように、
「一見庶民の生活に淡々と焦点をあてながらも
しっかりと原爆の傷跡を描く」、というのも一つの技法ですね。
前述の主人公のセリフなど、戦争の悲惨さを気づかせるのに
必要十分だな、という感じがしました。
まぁ、皆実の妹は、悲惨な死に方をしていますけど‥