「バッテリー4」(はてな年間100冊読書クラブ 76/100)

バッテリー (4) (角川文庫)

バッテリー (4) (角川文庫)

  • 巧と豪のバッテリーに最大の危機が‥

主人公で天才バッターの原田巧と、
相棒のキャッチャー・永倉豪の
「バッテリー」コンビにシリーズ最大の危機が訪れる、
といった感じの第4巻ですね。
全国大会出場の強豪中学を相手に、
巧と豪のバッテリーは、相手の主砲を三振にとるなど、
最初は健闘を見せました。
しかし、プロ野球野村克也監督を思わせるような、
相手選手の「ささやきの策略」に豪がハマってしまい、
動揺を誘われ、打ち崩されてしまいます。
プライドの高い巧、巧に追いつこうと頑張ってきた豪は
共に衝撃を受け、スランプに陥ってしまいますね。
お互いが悩み、苦しむ様子が一巻丸々続きます。
この一巻だけを読むと、読後はスッキリしないでしょうなぁ‥(^^;)

  • ジコチューの巧にも、豪を思いやる気持ちが‥

主人公の巧には、引き続き周りが見えない、
自分本位な面も見られます。
しかし、苦しみ続ける豪に代わるキャッチャーでは、
投球も全力が出せなかったり、
スムーズな投球が出来なかったりしてしまいます。
そうした面を通じて、豪のことを気にかけ、思いやるという
巧にとっては、大きな変化のようなものが見え始めていますね。
一方で、今後巧と豪の前に大きく立ち塞がりそうなのが、
二人を打ち崩した中学校のコンビですな。

  • 巧と豪の、最大のライバル?登場

このコンビ、巧に対応する天才バッター・門脇は、
巧と同じく生粋の野球バカという感じなのですが、
豪に対応する瑞垣が、なんとも嫌らしいキャラですね。
瑞垣は、巧達を策略で崩した張本人ということもあり、
頭の回転が速いキャラです。
巧達をライバル扱いして潰そうとするだけではなく、
加えて、相棒の天才・門脇に対しても、
その才能ぶりを羨むと同時に妬みもする、
という感じで、実にひねくれていると言うか
複雑な人物という設定ですね。
「巧についていきたいけど、自分の能力では一杯一杯」
という感じで生真面目に悩む豪とは、
一味違うキャラ設定ですね。

  • 完全に嫌われキャラにしないため?お茶目なシーンも‥

これまた、第1巻を読み始めた頃に、
主人公の巧に感じたことと同じく、
「とても中学生には見えない」という感じですね‥(^^;)
そんな嫌らしい設定の瑞垣は、口も達者であり
その達者な口で、妬みのような感情を隠す面もあります。
真面目な性格の巧や豪、門脇は瑞垣のペースに
嵌められっぱなしです。一方で巧と豪の友人に
吉貞という、同じような口の達者なキャラが登場します。
この吉貞、野球の面でもなかなか器用な面を見せ
豪の代理のキャッチャーに指名されたりもします。
しかし、やっぱ巧の相手は務まらないようです。
ただ、誰もが押されっぱなしの瑞垣に対しては、
同じように口が達者な点を生かして、
立派に張り合います。まるで漫才コンビのような
一面が出たりしていますね。この漫才(笑)シーンは、
「瑞垣を完全に嫌われキャラにしない」
という役割を担っているのかな、とも思ったりしました。
ただ、門脇と瑞垣、巧と豪との再戦も決定しましたね。
まだ完全復活できていない巧と豪にとっては、
険しい関門となりそうです‥