「ネットカフェ難民と貧困ニッポン」(はてな年間100冊読書クラブ 59/100)

ネットカフェ難民と貧困ニッポン (日テレノンフィクション 1) (日テレBOOKS―日テレノンフィクション)

ネットカフェ難民と貧困ニッポン (日テレノンフィクション 1) (日テレBOOKS―日テレノンフィクション)

ネットカフェ難民について取り上げた、
渾身のルポルタージュって感じの本ですね。
テレビ放送番組の取材を元にしており、
放送で取り上げたネットカフェ難民
その後を取材するなど、放送の補完も兼ねた、
充実した内容に仕上がっていますね。
ネットカフェ難民は、金銭的に苦しい生活を
強いられていることは、多くの人がご存知の通りです。
しかし、金銭的な面だけではなく、
親による虐待や家庭内不和などで、
家に居場所がなくなってしまい、その結果として
ネットカフェ難民生活をはじめてしまった、
というケースも多いようですね。
家庭と縁が切れてしまうと、
保証人になってくれる人がおらず、
その結果としてアパートが借りられません。
また、住所が無いと、就職が出来ません。
上記の両方が出来ない人向けに、
日雇い派遣ネットカフェ難民が広がった、
ということが現状のようですね。

また、この本では、最近問題が明るみになった
日雇い派遣」における、派遣会社の横暴さについて、
一足先に取り上げていますね。
「異常に高い中間マージン(派遣料金の3割以上とか)を
いわばピンハネしていたこと」及び、
「データ装備費」などの名目で、中間マージン以外にも
労働者から費用をむしりとっていたことなど、
派遣会社の、利益至上主義体制を告発しています。
日雇い派遣会社の大手といえば、
グッドウィルフルキャストの2社ですが、
そういえばこの2社は、プロ野球の球場の
ネーミングライツを獲得するなど、
派手な広告宣伝活動が目立っていましたね。
「人材派遣会社って、そんなに儲かるものなのか?」
と疑問に思ったこともありましたが、
なるほど酷い仕組みを作ったものですね。
こういった広告宣伝費用や、経営者の高給などが、
自ら汗水垂らして働いた結果のお金ではなく、
日雇い派遣労働者の弱みに付け込み、
多額のピンハネ費用から支払われていた、
という事実には、憤りを禁じ得ません。
一方で、最近ではグッドウィルが廃業するなど、
日雇い派遣会社の横暴振りにも
メスが入ったような感がありますね。