「ネットカフェ難民と貧困ニッポン」(はてな年間100冊読書クラブ 59/100)
ネットカフェ難民と貧困ニッポン (日テレノンフィクション 1) (日テレBOOKS―日テレノンフィクション)
- 作者: 水島宏明
- 出版社/メーカー: 日本テレビ放送網
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 5人 クリック: 68回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
- 家に居場所が無く、就職も出来ないネットカフェ難民
ネットカフェ難民について取り上げた、
渾身のルポルタージュって感じの本ですね。
テレビ放送番組の取材を元にしており、
放送で取り上げたネットカフェ難民の
その後を取材するなど、放送の補完も兼ねた、
充実した内容に仕上がっていますね。
ネットカフェ難民は、金銭的に苦しい生活を
強いられていることは、多くの人がご存知の通りです。
しかし、金銭的な面だけではなく、
親による虐待や家庭内不和などで、
家に居場所がなくなってしまい、その結果として
ネットカフェ難民生活をはじめてしまった、
というケースも多いようですね。
家庭と縁が切れてしまうと、
保証人になってくれる人がおらず、
その結果としてアパートが借りられません。
また、住所が無いと、就職が出来ません。
上記の両方が出来ない人向けに、
日雇い派遣&ネットカフェ難民が広がった、
ということが現状のようですね。
また、この本では、最近問題が明るみになった
「日雇い派遣」における、派遣会社の横暴さについて、
一足先に取り上げていますね。
「異常に高い中間マージン(派遣料金の3割以上とか)を
いわばピンハネしていたこと」及び、
「データ装備費」などの名目で、中間マージン以外にも
労働者から費用をむしりとっていたことなど、
派遣会社の、利益至上主義体制を告発しています。
日雇い派遣会社の大手といえば、
グッドウィルとフルキャストの2社ですが、
そういえばこの2社は、プロ野球の球場の
ネーミングライツを獲得するなど、
派手な広告宣伝活動が目立っていましたね。
「人材派遣会社って、そんなに儲かるものなのか?」
と疑問に思ったこともありましたが、
なるほど酷い仕組みを作ったものですね。
こういった広告宣伝費用や、経営者の高給などが、
自ら汗水垂らして働いた結果のお金ではなく、
日雇い派遣労働者の弱みに付け込み、
多額のピンハネ費用から支払われていた、
という事実には、憤りを禁じ得ません。
一方で、最近ではグッドウィルが廃業するなど、
日雇い派遣会社の横暴振りにも
メスが入ったような感がありますね。