「道路問題を解く ガソリン税、道路財源、高速道路の答え」(はてな年間100冊読書クラブ 54/100)

道路問題を解く―ガソリン税、道路財源、高速道路の答え

道路問題を解く―ガソリン税、道路財源、高速道路の答え

  • 道路問題について、よくまとめられた一冊

少し前に話題になった、道路財源やガソリン税
高速道路の無料化などの問題について、
詳しい解説をしている本ですね。
著者の結論としては、「高速道路を無料化して、
地方経済を活性化することにより、
景気回復に繋がる」というものです。
結論の是非はともかく、「道路問題」とは何なのか、
という点について、なかなかキッチリと
まとめられているな、という印象がありました。

  • 道路公団民営も、債務は別会社に残されて‥

田中角栄元首相が、道路を政治に利用し始めてから、
道路行政は利権の道具となってしまったようです。
道路は新幹線あたりと同じく、政治家の地元への
利益誘導の代表的な手段となっていますが、
その源流は田中角栄だったようですね。
そして、小泉純一郎内閣のときに行われた、
道路公団の民営化ですが、実は債務(借金)は
民営化後の会社に引き継がれなかったそうです。
そして、債務の無い民営化会社は、
公営時代と同じように、道路を作り続けることが
出来てしまうそうです。これでは、今後も
現状と変わらず地方に「ムダな道路」が
一杯作り続けられてしまう、ということですね。
そして、民営化会社に引き継がれなかった債務は、
いずれ国鉄国鉄清算事業団)と同じように
国民負担になる可能性が高いそうです。

  • 高速道路を無料化し、地方活性化を目指す

これでは、全く意味の無い民営化なのではないか?
と思ってしまいますね。このあたりの真相、
マスコミもあまり報道してはくれませんよね。
マスコミも小泉さんの威勢に乗せられてしまって、
本質に目を向けようとしなかった、
ということが言えるかと思います。
このあたりが、小泉改革と道路族との
妥協の産物だった、というところでしょうか。
残念ながら民営化は形だけでしたね。
しかし、こうして見ると確かに、
道路問題には、日本の政治的な問題や
都市と地方の格差など、様々な問題が
包括されているという感じですね。
「新しい道路をこれ以上作るのではなく、
高速道路を無料化することによって、
地方を活性化する」という著者の案には
納得出来るものがあるな、と思いました。