「あぁ、阪神タイガース―負ける理由、勝つ理由」(はてな年間100冊読書クラブ 52/100)

  • 実際に監督を務めていただけに、生々しい話も‥

楽天イーグルスの監督・野村克也氏が、
かつて監督を務めて一敗地にまみれた
阪神タイガース」を分析している本ですね。
野村監督は以前、「巨人軍論」を出しています。
巨人には縁の無かった野村監督ですが、
阪神では監督を務めた経験があります。
そのため、監督時代のエピソードが
盛り込まれていたりしており、
「巨人軍論」よりも、より一層球団内部に
深く突っ込んだ内容に仕上がっていますね。
今年はセ・リーグの首位を独走するなど、
ここ最近は強くなってきた阪神ですが、
野村監督時代、及びそれ以前は
長らく低迷の時期が続いていました。

  • フロントとマスコミが、阪神低迷の元凶

その低迷の原因として、野村監督は、
「フロントとマスコミ」をあげていますね。
まぁ、提灯記事等で選手を甘やかすマスコミと、
お家騒動に明け暮れる阪神フロントがダメダメ、
ということは結構有名でしたけど、
監督時代の経験から、オーナーの生のセリフなどが
描かれているのは面白かったです。
「優勝すると年俸が上がってしまうから、
巨人に次ぐ2位で良い」と放言するオーナー、
そして、ヤクルトでは成功した「野村の教え」が
浸透しない選手たち‥
(ミーティング中もメモを取ろうとせず、
甘やかされている環境のためか、阪神の選手は
野球に向かう姿勢に問題がある、としていますね。)
野村監督の監督時代の苦難がしのばれる、
という感じの内容でした‥(^^;)

  • 一部に恨み節もありますが(笑)、関係者は一読の価値ありかと‥

まぁ野村監督は現役時代、阪神と同じ関西に本拠地を置くも
阪神に比べて人気はイマイチであった、
南海ホークスに所属していただけに、
「弱いのに人気だけはあった」阪神に対しての
恨み節が含まれているところはありますね‥(^^;)
そして監督時代も良い思い出が無いため、
基本的には、阪神という球団は組織的にはダメダメであり、
人間教育もなっていない(=野球に向かう姿勢が出来ていない)
という感じで、容赦なく、切り捨てています(笑)
ただ、全般を通した内容的には、
現役・監督時代を経た、ただの恨み節だけではなく、
ID野球で著名な野村監督らしく、
キッチリと分析された阪神タイガース論でしたね。
嘗てのダメ虎暗黒時代に戻らないように、
阪神タイガースのフロント、選手、
そしてマスコミ諸氏(特にデイリースポーツ‥笑)は
一度目を通しておく価値のある、内容であると思いました。