「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」(はてな年間100冊読書クラブ 25/100)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet

  • 衝撃のクライマックスシーンが序盤に‥

著者の桜庭一樹さんは、
昨年の直木賞を獲得した作家さんです。
本作品は、その桜庭さんにとっての
代表作とも言える作品だそうですね。
この小説は、クライマックスのシーンが
冒頭に置かれている構成が取られています。
推理小説で言えば、さしずめ犯人の名前を冒頭で
明かしてしまうようなものなのですが、
このクライマックスのシーンが余りに衝撃的でした。
(ゲームで言えば、さしずめバッドエンド)
この点で、読者の興味を引くことに成功していますよね。
「どう物語が進むと、こういう結末になるのかな」
という感じで、読み進めていきたくなります。
上手い構成の仕方だな〜と思いました。

  • 「砂糖菓子」というタイトルに反して、重い内容で‥

内容的には、元々はライトノベルだったそうですが、
テーマが重いですねぇ‥「砂糖菓子」といった
タイトル的には(笑)甘そうな文句がありますけど。
この小説、ライトノベル発刊時には
どのような挿絵があったのでしょうか‥?
もしイラストが萌え絵だったりすると、
「このイラストでこんなハードな内容なんて、詐欺だ〜」
なんて声が上がりかねない気がしてしまいました‥(^^;)
私も、物語はハッピーエンドで終わることが
好きな性格なので「この結末はどうなのよ?」と思いました。

  • 「強くなりたい」ゆえに武器を手に入れようとして‥

そのストーリーですが、主人公は引きこもりの中学生、
そして主人公の転校生の友達は
父親から虐待を受けていて‥という設定ですね。
私にとって、中学生とは、もはやはるか昔の出来事となり、
また親からの虐待経験等も無いため、
(まぁ特別可愛がって貰った記憶も無いですけど‥笑)
主人公達に思い入れをするというか、
主人公達の気持ちを理解するのは難しかったですね。
「中学校を卒業したら、自衛隊に入りたい」と思う主人公、
「有名人の父親を持ち、お金持ちの家に育ちながらも
父親に虐待されて地獄のような日々」の主人公の友達、
という設定ですからねぇ‥
ただ、そのような立場に置かれると、
戦う手段を持とうとして、「実弾を撃とうとする」主人公、
または「砂糖菓子の弾丸を撃っている」ように見える
主人公の友達のように、必死に生きていかなければ
ならない、というころでしょうか‥?
児童虐待の多発が問題となっている、
現代ならではの小説という感じがしました。