「夜回り先生のねがい」(はてな年間100冊読書クラブ 153/100)

夜回り先生のねがい

夜回り先生のねがい

夜回り先生」で著名な、水谷修さんの最新刊ですね。
ちなみに「夜回り先生」シリーズの書籍化は、
今回が最後となるようです。
その最終巻の本書にも、傷ついている子供たちの
リアルなストーリーが取り上げられていますね。
その中では、水谷先生が関わりながらも
亡くなってしまった子供のエピソードは、
読んでいて胸にグッと来るものがありますね。
子供を結果的に救えなかった水谷先生の
後悔の思い、そして先生が今までずっと真摯に
子供たちに向き合っていたとしても、
結果的にその子供を救えなかったという
非情の現実に終わってしまった
という現実があります。
この本に収録されている物語が
予定調和のハッピーエンドで終わる
フィクションストーリーではなく、
現実の出来事なのだということを
実感させられますね。

  • 子供だけではなく、大人も傷ついて‥

また本書では、「傷ついている大人」の
ストーリーも取り上げられていたりします。
指導に行き詰ってしまった先生なども、
藁にもすがる思いで水谷先生に相談したりしています。
子供たちだけではなく、大人も傷ついてしまっている、
という状況を鑑みると、
「大人が傷ついた子供たちの心を救う」
というケア策は難しくなって来ているんだなぁ、
と改めて実感させられました。
このあたりは子供に対するしつけなどにも
同じ事が言えますよね。
自らの行動が正せない大人が、
子供たちへの注意など出来るはずも無い、
という感じでしょうか。現在は行動を注意したら
逆ギレされて、下手すると殺されてしまうような
物騒な世の中ですからねぇ‥

  • 水谷先生にも苦い過去が‥

また、今では名も知らぬ子供達に対して
真摯に向かい合っている水谷先生ですが、
実の妹に対しては、かなり酷い対応を
していたりもしていますね。疎遠になっていた
父親の遺産について、放棄の要請を蹴って、
しっかり半分、分捕ったりとか‥(^^;)
その後、再会した妹さんから
「お父さんに似ている」と言われて、
はじめて肉親の情を実感し、酷いことをしたと
心を入れ替えたりしていますよね。
水谷先生も最初から聖人君子では
無かったんだな、と実感したりしました。