「性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-」(はてな年間100冊読書クラブ 152/100)

性転換する魚たち―サンゴ礁の海から (岩波新書)

性転換する魚たち―サンゴ礁の海から (岩波新書)

  • 著者の私的な研究内容の記述も多く‥

著者の専門である「性転換する魚」の研究結果を
まとめた本ですね。この本のスタイルが、
よく見られる「知識を体系的に並べている」
というパターンではなく、「著者のこれまでの
性転換する魚の研究記」のような体裁が取られています。
具体的には、著者が研究活動を行い、
新たなる事実の発見に至るまでの
試行錯誤の様子が、結構なページを割いて描かれています。
私的な内容でもあり、ここは評価が分かれるところでしょうか。
「知識を体系的に得たい」というタイプの読者であれば、
研究の過程は退屈であり不要に思えますが、
逆に「なるほど、学者はこんな風に試行錯誤しながら
研究しているんだなぁ」と興味深く読むことの出来る
読者も多いかと思います。ただ、私は本書に関しては
どちらかというと前者の感想を
抱いてしまいました‥(^^;)
まぁ私が文科系の人間であり、
本書に取り上げられている生物の研究の過程などには、
あまり興味が無いことも、原因なのかもしれないですけど‥

  • 子孫を残しやすくするために、魚は性転換を行う‥

さて話を本書の内容に戻すと、
魚の中には、よく知られているクマノミなど、
周りの環境等の要因により、
性転換をする魚が多いそうですね。
性転換をする要因としては、
やはり子孫を残しやすくするためとのことです。
人間と違って、魚は、卵が食べられたりして
成体に成長する確率が低いため、
種族を残していくために、効率よく生殖活動を
行うために性転換をしたりするようですね。
このあたりは、ミツバチの女王蜂と働き蜂の関係に
似ているところがあるような感があります。
人間のような、男女平等・一夫一婦制のような
仕組みは、子供を成人まで安全に育てることの
出来る環境において、はじめて成り立つ
ものなのだな、と改めて実感しました。
その人間も、医療環境が整っておらず
子供が早死にすることの多かった昔では、
大奥やハーレムなどの一夫多妻制が
成り立っていましたからね。
これも、支配層の子孫を残し易くするための
仕組みであったことと思いますから‥