「職場はなぜ壊れるのか」(はてな年間100冊読書クラブ 145/100)

職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書)

職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書)

  • 産業医の先生から見た、現代の職場の病理とは‥

著者は産業医の先生ですね、
その先生から見た、主に成果主義を中心とした
職場の病理が取り上げられています。
成果主義を論じた本は、富士通の元人事部担当者が
内情を暴露した本をはじめとして、
数多く出版されていますが、
今回は産業医の先生から見た視点ということで、
なかなか新鮮な感もあったりしました。
職場の人間関係、そして派遣に代表される
現在の労働体系、はたまた医者の先生自身が
うつ病になっている現状など、
まさに現場に直面している産業医の先生
ならではの生のルポルタージュ
という感じですね。
会社の人事担当者にぜひ読んで頂きたい
本だな、という感を強く持ちました。

  • 成果主義の導入により、人間関係はますます希薄化‥

なるほど、成果主義の導入によって、
人間関係が希薄になった、
という一面は間違いなくあるでしょうね。
成果主義は確かに個人の成果を重視する仕組みですが、
私の勤めている会社の成果主義は、
その成果の評価が、各部門内の相対評価となっています。
(つまり、評価Sは全体の5%、評価Aは同40%‥など)
これでは、周りの社員がライバルという位置づけに
なってしまいますよね。また、成果主義の仕組みは
いわゆる「目標」を設定させて、その目標に対する
達成度合いを評価するものが多いと思いますが、
これによって、「自分の目標に含まれていない
業務を避ける」傾向が出ますよね‥(笑)
それが他人の目標達成に関わるものなら余計に‥(^^;)
そんなところも、会社内の人間関係が
希薄になる原因の一つでしょうね。
社内旅行の廃止など、人間関係が緊密でなくなって
来ていた風潮のある中で、この成果主義の導入により
人間関係の希薄化に拍車がかかってしまった、
という傾向はあるかなと思います。