「日本が生んだ旅客機 182機の歩みと現在 YS-11物語」(はてな年間100冊読書クラブ 141/100)

YS-11物語 (JTBキャンブックス)

YS-11物語 (JTBキャンブックス)

  • 国産飛行機、YS-11の歴史が解ります

YS-11といえば、今のところ日本産の唯一の
旅客用の飛行機ですね。技術立国の日本にあって、
航空機の分野では残念ながら軍事産業が盛んな
アメリカに敵わない状況が続いています。
日本の空を飛ぶのも、アメリカ産のボーイング機が
中心ですよね。アメリカ・ボーイングに対抗するのは、
ヨーロッパ諸国が総力を合わせたエアバスのみって
感じで、日本のメーカーは全く顔を出していない、
という感じです。そんな日本の航空産業ですが、
嘗ては小型機を作っており、一定の評価を得ていました。
それがこの本で取り上げられている、YS-11ですね。

  • 昨年、最初で最後のフライトを経験しました‥

このYS-11、500人前後の乗客を乗せる事が出来る
ジャンボ機に比べれば遥かに小さい、
60人乗り程度の小型機ですが、そのコンパクトさを生かして
主にローカル線等で活躍していました。
そのYS-11の退役に伴って導入されたのが、
高地空港の胴体着陸事故など、最近事故が多発している
ボンバルディア社のDHC-8型機になります。
あれだけ事故が起き続けていると、
今この機種に乗るのは、ちょっと勇気が要りますよね‥
そして改めて、退役直前まで無事に活躍し続けた、
YS-11の優秀さを改めて思い知らされた
という感じがしました。このYS-11
私は昨年、屋久島に行く時に、
私にとっては初めてであり、
そして最後のフライトを経験しました。
窓の外からはグルグル回るプロペラが見えて、
また音もうるさく、快適という感じではなかったです。
しかし、機内はそれほどくたびれた様子も無く、
まだまだ十分飛べそうな感はありました。

  • 生産された飛行機の、運命も実感しますね‥

前置きが随分長くなってしまいましたが(笑)
この本は、そんな日本で生産された飛行機である
YS-11の全機種の歩みを追った本ですね。
飛行機なのでもちろん、墜落してしまうケースもありますし、
そこまで行かずとも事故で廃機になるなどの
不幸な結末を辿った機もあります。
同じ時期に生産されても、早々と解体処分にあって
しまったものもあれば、今も海外で現役として活躍しているもの、
そして博物館で大切に保管されていたりするものもあります。
こうしてみると飛行機の行く末も、
運命に左右されているなぁ‥という感じがしますね。
国産飛行機であるYS-11の優秀さと共に、
生産された飛行機の、それぞれの運命というものを
改めて実感したりもしてしまいました。
また、本書は写真が多い本なので、普通に本として
読み込むには物足りない内容かもしれませんが、
飛行機マニアなどにとっては、写真が多くて
YS-11の記録を留めるムックとしての
保存的な価値もありそうな感がありますね。