「死活ライン「美しい国」の現実」(はてな年間100冊読書クラブ 135/100)

死活ライン―「美しい国」の現実(リアル)

死活ライン―「美しい国」の現実(リアル)

 

  • 貧民層の生活実態を追ったルポ‥

「週間金曜日」らしい、ワーキングプアなどの
貧民層を追跡したルポに仕上がっていますね。
小泉純一郎元首相の主導による構造改革により、
格差社会現象が深刻になってきたことは
周知の事実になっています。
その深刻な格差の現状が綴られていますね。
高齢化社会が深刻化する中での、
介護ヘルパーが劣悪な労働条件下に置かれている、
というところは、老人福祉施設等で
ヘルパーによる患者の虐待行動に
繋がっている点もあるのでしょうね。

「デフレの進行で、100円ショップに代表されるように
安くてソコソコのモノが買えるようになってありがたい」
というメリットはあるのでしょうが、
コストの削減の陰で、本書にあるような
労働環境の劣悪化も着々と進行しているようですね‥
これらの劣悪な(金銭的に&環境的に)職場は
日本人は働こうとしないでしょうから、
今後の日本の人口(労働人口)の減少を考えると、
外国人労働者の受入が必須になるように思われます。
しかし、外国人労働者の受入が増えると、
犯罪の増加につながる&日本人労働者の働き口が
奪われるという点もあるため
(欧州各国では、移民排斥の風潮が高まっていますね‥)
なかなか難しいところではあるかと思います。
劣悪な労働条件の例として、介護ヘルパーの他に
タクシー運転手などが上げられていました。

  • 弱者切捨ての政策が進行中‥

また、生活保護の切捨てなど、弱者切捨ての政策も
着々と実行中のようです。アメリカでは、
健康保険制度がないため、貧民層は病院に罹る事が出来ない、
という実態がありますが、この本を読んでいると、
日本もそのうちに国民皆保険制度が崩れ、
アメリカのようになるのではないか、という感じがしています。
憲法生存権が保障されているとはいえ、
現代の世相を考えれば&社会保険庁の杜撰さに代表されるような
国家の姿勢を考えれば、「国家に守って貰う」
という考えは捨てて、自分の健康・自分の命は
自分で守っていくしかなさそうですね‥
そのようなことを改めて実感した本でした‥
現実を追ったルポルタージュは、現実なだけに
読んだ時に受けるインパクトは、
大きなものがありますね。
今起こっている現実に目を向けていくことが
必要なんだなと、思い知らされますよね‥